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2011年3月25日

ガレッジセールインタビュー 沖縄国際映画祭を通して僕らができること

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今回で3回目となる沖縄国際映画祭。東北地方太平洋沖地震を受け、被災者へのエールを送るチャリティーイベントへとシフトチェンジし、改めて「Yell, Laugh and Peace!!」というキャッチフレーズを掲げた。映画祭のメインイベント開催に向け、ここ沖縄から出来ること、またお笑いの力が持つパワーや地域の魅力についてガレッジセールのふたりに聞いた。

ー今回のテーマに加えられた「エール」ですが、カウントダウンイベントに参加されてみて、観客の方々が被災地を支援したいっていう空気感は実感されてたのではないですか?
川田:そうですね。さっきも募金活動に協力させて頂いたのですが、観客の方から「一緒に頑張ろう」って言葉を頂いたり、東北出身でたまたま観光で来てた方から、「本当に東北のためにありがとうございます。一緒に頑張りましょう」と言われたことが、すごく嬉しかったし、こっちも励みになりました。頑張ろうと思いました。
ーなるほど。長年お笑いに携わってきたおふたりだからこそ「笑い」のパワーをエールとして届けたいという想いもあるのでは?
ゴリ:今回の映画祭に関して、「エール」が加えられたのは、我々が笑いで元気にするという意味ではないんです。東北の被災者の方々のために何ができるかなと考えたとき、僕らは警察官でもないし、消防隊員でもないから、消火活動や、物資輸送はできない。僕らにできることは、お笑いをすること。かといって今、東北の被災地に行って、コントを見せて、漫才見せたら笑えるのかというと、まだ笑えない状況だと思うんです。そこで、今すぐに出来ることは、普段僕らがやっているお笑いのイベントを皆様の前でやることによって、人が集まり、その集まってくれた人たちに募金を呼びかけることではないかな…と。そして集まった義援金を東北の方々に向けたエールとして届けたいと思っているんです。

ー沖縄県内でも被災のニュースを受け、どう応援してよいのか、自分たちに何が出来るのかを考えさせられた方が多かったと思います。そんな中、このように気持ちが形となって表れるイベントがあるというのは素敵ですね。
ゴリ:今回の震災の影響による日本国内や世界中の人たちの動きを見て、僕は本当に「人間って捨てたもんじゃないな」と、人間が好きになりました。日本国内はもちろん、日本と離れた台湾、韓国など、海外の人たちが日本のためだけにチャリティー番組を設けて、寄付金を集めてくれたり、世界中のレスキューの方々が日本に来て、瓦礫の下から埋もれた人たちを助け出そうと動いてくれているわけじゃないですか。これまで、世界中の紛争や悪いニュースを聞くと、自分たちの私利私欲だけのダークな世界を感じるわけですが、こういう災害が起きると、そんな汚い心が全て取っ払われ、みんなが持つ白い心が全面に出てきますよね。住んでいる所や人種も違えど、みんなひとつの同じ地球人なんだってことを再認識できたんです。僕もこれから先の人生、何か人のために役立てるように生きて行かなきゃって思いました。ある意味人生観を変える出来事ですよね。例えばこのイベントでの募金活動にしても、この2日間だけでも多額の寄付がよせられている。ひとりが頑張ってもそんなに集められないけれど、それが集まると大きな力になることを感じました。こういうみんなの優しい気持ち、思いやりの気持ちを今後の地球でずっと何十年、何百年って続いていったらいいなって切に思います。ただ、映画祭をやる以上、僕らも暗い気持ちでやると、来ているお客さんに失礼になるので、やるときは笑顔で一生懸命頑張ります。ですから、皆さんも楽しんで、楽しんだ分の気持ちを募金という形で東北の方々に返していただけたらいいなと思っています。
ーそういう意味では、悲しみにひたる事だけでなく、楽しさをバネに与える力を養う必要もありますね。沖縄国際映画祭は今年で3回目ということで県内での認知度も高まってきていると思うのですが、実感として手応えはありますか?
川田:全然違いますね。1回目は、相方は映画を撮ってたので、僕は沖縄県内を回り、色んな所で映画祭のPRをしていたんです。でも「映画祭ってなんね?」みたいな反応ばかりでしたね。2回目になると倍以上の認知度。逆に街を歩いていても、お客さんから「ラフピー見てるよ」という言葉を頂いたり、エンディングに大勢の方が集まってくれたことに感動しました。今回3回目の開催は、震災の影響で特別な意味を持つものとなりますが、だからこそ、「笑い」の力や影響力を実感できるのでは…と思っています。

ーこの映画祭は、県内の方々だけでなく、県外の方へ向けて、沖縄の魅力を伝えるツールにもなっていると思うのですが…。例えば、沖縄の方言や感覚って他の地方と比べて独特で個性的な魅力を持っていますよね。
ゴリ:方言っていうのは、とにかく意味がわからないから面白いっていうくらいだと思うんですね。それよりも、流れている時間のゆるさが面白いんじゃないかな。例えば、注文して何分たってもご飯が出てこないとか…。それって東京や大阪にいるときだったら、「どれだけ時間かかるんですか」って言ってた自分が、沖縄にいるとなぜか待ててしまう感覚。それが沖縄の魅力でもあり、面白さにも繋がる。今さっきも、芸人さんたちと沖縄そばを軽く食べるつもりだったんですが、おばぁたちが「これもかめ〜あれもかめ〜」って…。結局必要以上に食べて、お腹が苦しいってみんな言ってたんですよ。「沖縄いつもこうなの?」って。沖縄の人のもてなす文化は肌で感じているけれど、思っている以上に「もてなしすぎ文化」っていうか…(笑)。苦しんでましたからね。動けないって言って(笑)。そういう沖縄県民の人の良さ、面白さというのを今回参加した芸人の皆さんも感じていると思います。
ー文化がだいぶ違いますもんね。おふたりは県外に出てから 改めて再確認する沖縄の魅力ってありますか?
川田:ありますね。沖縄にいるときはあまり気づかずにいましたが、出てみて良い島なんだって。単純に人の良さ…例えば、ゆいまーる精神や、笑顔が素敵な人がたくさんいるということも。多分、おじぃおばぁなんかが残してくれた島のゆるさが、文化や人の気質に表れ、周りを癒してくれるんじゃないかと思いますね。
ゴリ:やっぱり美しい自然ですね。他にはないですもん。どれだけ僕らがエンターテイメントで頑張ろうが、きれいな絵を描こうが何しようが、自然の芸術には勝てないですから。それに気候が暖かいというだけで、幸せに感じるじゃないですか。そういう沖縄の気候・風土というものが、ここに住む人たちに影響して、人も穏やかになったりとかすると思うんですよね。
ー沖縄の人って、沖縄が大好きな方が多いですよね。おふたりもそうですが、沖縄を離れることで、沖縄を欲する気持ちが芽生えることもあったのでは?
川田:もちろん。年に一回新宿で、エイサー祭りがあるのですが、それを見た時に涙が出てきました。一生懸命パーランクーを叩いているのを見て、幼少時代を思い出したというか…。多分自分のルーツや核の部分に、知らない間に蓋をしていた気がします。恐らくエイサーを見たことで、それが一気にどーんと溢れてきて涙が流れたんですね。沖縄にいて、もしエイサー見たとしても、ここまで深く響かなかったかもしれないです。離れていたからこそ、沖縄の良さを再確認できたのだと思いますね。
ー当たり前のものが特別なものになった感覚なんでしょうね。
ゴリ:僕の場合は、音楽ですね。特に僕は女性ボーカルが好きなんですが、女性が高音を出す時の独特の喉をしめる歌い方、あの歌を聞くと胸が締め付けられるというか、哀愁にひたってしまうんですよ。悲しいようでもあり、心地よくも感じている。これまで沖縄民謡の曲に興味がなかったけれど、外に出て聞きたい…と思うようになりました。

ーそういう意味で言えば、その土地の魅力はその土地の人が一番良く知っているのかもしれませんね。さて話は映画祭に戻りますが、今回の映画祭では、そうした地域の魅力を発信するというコンセプトで映画やCMコンペがあり、川田さんは沖縄CMに出演されていますよね。
川田:はい、そうですね。コザの街のCM撮影に参加しました。僕も知らなかったんですが、コザの街だけに40カ国以上の人がいるんですよ。だから多国籍な店がいっぱいあって。こんな沖縄の姿、観光客は知らないなぁと思い、もっとこれからPRしていければ…と思いました。
ーCMの撮影場所では店員さんと以前からの友達のような雰囲気でしたね。初めて行ったお店ですか?
川田:そうですね。あの気さくな感じが沖縄の魅力ですよね。そこのお店の店員さんが「フットボールアワーの岩尾くんに会いたい、岩尾くんに会いたい」って。「岩尾くん、カッコ良い」ってずっと言ってたんで、「映画祭に来たら、会えるよ~」って言ってたんです。変わった趣味の方ですよね(笑)。


ー(笑)。今回の映画祭では、沖縄だけでなく、さまざまな地域の魅力にふれることができる内容になっていますね。それでは、最後に読者に向けたメッセージをお願いします。
川田:今回の一番のテーマは、みんなが今こそひとつになって東北の被災地に向けてエールを送ろうということなので、今までの雰囲気とはまた違ったコンセプトになりますが、この機会にあえて開催する意義をしっかり受け止め、たくさんの方々とひとつになり、この危機を乗り越えたいなと思っています。僕らが今できるのは、きっとこういうカタチだと思うので。そして、来年の映画祭はラフ&ピースで盛り上がれるよう、精一杯エールを送りたいと思っています。
ゴリ:お互い頑張りましょう。


沖縄国際映画祭 INFRORMATION
日程:3月18日(金)〜27日(日)
場所:沖縄コンベンションセンターおよび周辺地区、桜坂劇場、北谷町
時間:スケジュールはこちらから

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