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2024年5月27日

【連載コラム】沖縄音楽の楽|又吉恭平|沖縄音楽旅行Vol.51

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沖縄音楽の楽
琉球古典音楽野村流伝統音楽協会の又吉恭平が琉球古典音楽や沖縄民謡など、沖縄音楽の「楽しみ方」を貴重な音源や、曲にまつわるエピソードで伝える連載コラムです。
文|又吉恭平

タイトル:「琉球箏曲」

琉球箏曲について
今回は「琉球箏曲」について紹介したい。「箏曲」とはいわゆる「箏」という楽器で奏でられる音楽のことを指す。
例えば、お正月によく耳にする「春の海」も箏曲のひとつである。

現在でも日本中で奏でられているが、特に沖縄(かつての琉球)の地で伝承されてきた箏曲が「琉球箏曲」である。
その歴史は18世紀の初め頃、稲嶺盛淳という人物が、薩摩で習い覚えて琉球に持ち帰ったことがはじまりと云われている。当初は箏だけの演奏であったと想定されるが、19世紀の初めごろからは、歌三線の伴奏楽器として用いられるようになり、現在では、琉球古典音楽をはじめ、琉球民謡、八重山古典民謡、宮古民謡等でも演奏されるようになった。

2016年には、琉球王朝時代に移入された段物7曲(「瀧落菅攪 」「地菅攪 」「江戸菅攪 」「拍子菅攪 」「佐武也菅攪 」「六段菅攪 」「七段菅攪 」)、歌物3曲(「船頭節」「對馬節」「源氏節」)の計10曲が「琉球古典箏曲」として「記録措置等の措置を講ずべき無形文化財」に選択された。その理由は、これらの曲の殆どが現在、日本本土では伝承されておらず、貴重な楽曲であるからである。

歌物は、その歌詞と曲想から大和的な雰囲気を感じることができる。また段物は歌のない器楽曲になる。中でも「瀧落菅攪」 は、舞踊曲やエイサーにも使用されており聞き馴染みの方も多いと思うが、この曲が実は箏曲に由来することはあまり知られていない。

このように琉球箏曲は本土から伝わったことをきっかけとしながら、今日まで大切に受け継がれてきているのである。

琉球箏曲を聴く

琉球箏曲の音源は決して多くはないが、ここではいくつかを紹介したい。「琉球箏曲」は、CDになっておらず、LPとカセットで聴くことができる。
この音源には先ほど紹介した「段物」が7曲収録されており、その演奏者も大湾ユキ・儀保スミ・中島とみ子・幸地ナエ・棚原靖子など戦前から戦後にかけて活躍した先達である。

同じく「琉球箏曲」とタイトルのついた安里ヒロ子のCDアルバムは、段物・歌物10曲がすべて収録されており貴重だが、さらに琉球古典音楽や沖縄民謡・八重山古典民謡の数々を安里による歌と箏の演奏で聴くことができ、琉球箏曲の世界を存分に堪能することができる。

CD「琉球宮廷楽劇〈組踊〉」には、沖縄の伝統楽劇「組踊」の名場面が抜粋して収録されているが、組踊「手水の縁」では劇中において「瀧落菅攪 」が箏のみ奏でられ、本音源では、数少ない男性筝曲家の宮里秀明の的確かつ鮮やかな演奏を聴くことができる。

【今号のフォトアルバムキャプション】
❶箏を奏でる宮里秀明(写真:大城弘明) ❷「三線・箏・笛・胡弓・太鼓」琉球古典音楽で用いられる5種類の楽器(撮影:新垣盛明)  ❸『琉球箏曲』 戦前・戦後を通して活躍した先達の演奏を味わうことが出来る ❹CD『琉球箏曲』 安里ヒロ子の演奏を通して琉球箏曲の多彩さを知ることができる ❺CD『琉球宮廷楽劇〈組踊〉』 組踊の中における箏の演奏を聴いていただきたい

又吉恭平 PROFILE
沖縄県立芸術大学大学院音楽芸術研究科音楽学専攻修了。国立劇場おきなわ組踊研修修了生(第3期)。琉球古典音楽野村流伝統音楽協会師範(歌三線・胡弓)。現在は琉球古典音楽の演奏家として、県内、県外で活動を行っている。

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