2023年9月10日
沖縄音楽の楽
琉球古典音楽野村流伝統音楽協会の又吉恭平が琉球古典音楽や沖縄民謡など、沖縄音楽の「楽しみ方」を貴重な音源や、曲にまつわるエピソードで伝える連載コラムです。
文|又吉恭平
タイトル:「沖縄の民俗芸能」
沖縄の民俗芸能とは
季節は夏真っ盛り。暑いのが苦手という人は実は沖縄にも多い。しかし夏は沖縄人(ウチナ―ンチュ)の心を奮い立たせる時期でもある。それは夏にはエイサー等様々な民俗芸能が沖縄各地で行われることにひとつの要因があると思う。今日はそんな「沖縄の民俗芸能」について書いてみたい。
そもそも「民俗芸能」とは、地域に伝承される芸能のことで、いわゆるプロが専用の舞台施設で行う「舞台芸能」とは区別される。演じるのが地域の人々であることにも違いがある。またその上演の場は、地域の公民館や、あるいは地域特有の拝所等で演じられることも多い。「エイサー」はいわゆる沖縄の盆踊りで、路上を練きながら移動をして行う。時にはコンビニやスーパーの前などでも行われるので、人々の目に触れる機会も多い。しかし民俗芸能の種類は多く、エイサーのように必ずしも認知度の高いものばかりではない。
例えばその種類には他に「ウスデーク」、「村踊り」、「獅子舞」、「棒術」、「綱引き」等があげられるが、特定の地域にしかない唯一無二のものもある。数年間続いたコロナ禍によって民俗芸能に触れる機会はめっきり減ってしまったが、最近段々と各地の祭りが復活されてきており、今年は久しぶりに祭りの現場に行けるのではないかと私自身とても楽しみである。
沖縄の民俗芸能を聴く
民俗芸能は現地で体感することがもちろんよいのだが、まずは音源を聴いてその雰囲気を味わっていただきたい。三隅治雄監修『沖縄音楽総攬』は組踊や琉球古典音楽等の音源が収録されているが、その中に民俗芸能も数多く収録されている。中でも女性のみで歌われる「ウスデーク」や、中国から伝わった楽器「嗩吶(ガク)」で奏でられる今帰仁村湧川の「路次楽」等からは沖縄の民俗芸能が多彩であることを実感する。
沖縄県文化振興会『沖縄の古謡』は沖縄本島や周辺離島、宮古諸島、八重山諸島に伝わる古謡を聴くことができる。本音源は各地域特有の歌を聴くことができるが、地域によって言葉のアクセントやイントネーションが異なるため、それぞれの歌を聴き比べてみるとその違いがよく分かる。
『山内盛彬生誕130年民俗芸能全集付録音源復刻盤その1 琉球王朝古謡秘曲の研究』では、音楽学者、演奏家、作曲家とマルチな才能を発揮した山内盛彬の著作『民俗芸能全集4巻琉球王朝古謡秘曲の研究』の付録としてつけられたテープの復刻であるが、音源では山内自らが演奏する音源や、地域で採録した音源などを聴くことができる。その中には戦前に山内が採譜した楽譜をもとにした演奏も収録されており、現在では聴けなくなってしまった音曲もあって大変貴重で聴きごたえたっぷりである。
今号のフォトアルバムキャプション
写真1 上「ウスデーク」女性のみで演じられる芸能
写真1 下「獅子舞」アジア各地に存在する芸能。沖縄では約150集落に伝わる
写真2 下「エイサー」いわゆる「沖縄の盆踊り」
写真2 上左 CD 『山内盛彬生誕130年民俗芸能全集付録音源復刻盤その1 琉球王朝古謡秘曲の研究』
写真2 上中 CD 『沖縄の古謡』
写真2 上右 CD 『沖縄音楽総攬』1965年発売のLPレコードの復刻
又吉恭平 PROFILE
沖縄県立芸術大学大学院音楽芸術研究科音楽学専攻修了。国立劇場おきなわ組踊研修修了生(第3期)。琉球古典音楽野村流伝統音楽協会師範(歌三線・胡弓)。現在は琉球古典音楽の演奏家として、県内、県外で活動を行っている。
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