2012年1月10日
沖縄を代表するアーティストとしてグローイングアップし続けるMONGOL800。すでにその貫禄は十分! 結成して13年経った今でも、「次はどんなことで楽しませてくれるんだろう……」と、期待が消えることはありません。むしろ、どんどん高まっています。そんななかで彼ら自身はどんな想いで音楽を育んでいるのでしょう。MONGOL800の原点に迫るインタビューをお届けします。
― 1998年に結成して今年で13年目。モンゴル800として積み上げたものが、「MONGOL800 ga FESTIVAL “ What a Wonderful World!! 11 ”(以下WWW)」にも繋がってると思うのですが、モンゴル800として首尾一貫して変わらないものってありますか?
上江洌 オリジナルCDのリリースが2年空いて、その間にトリビュートで参加した曲を『etc.works』シリーズとして収録したりしていますね。スパンで言ったらそれぐらいで、モンパチは「次のアルバムをこの一ヶ月で作ります! 」、「この日からスタートして書き上げていきます! 」って枠は決めないから。でも、前作のレコーディングのビジョンが見えたくらいから次の作品のことを考えていて、その空いた期間の生活感とか考えていることが自ずと作品になっていますね。最新の『etc.works2』を聴いて感じたのが、収録されている曲って、一曲一曲のオファーの時期はバラバラだし、レコーディングした時期もバラバラなのに、それを一つのCDにまとめたとき、モンパチとして何もぶれてなかったってこと。スペシャルズやユニコーン……って感じで、結構バラエティ的には色が出てるんだけど、なんかまとまってる。そこで、モンパチは13年間ブレていなくて、素が出せているって感じました。
― 『etc.works』シリーズは、13年間の中で出会ったアーティストの繋がりが形になっていたりして、ある意味モンゴル800の軌跡といえますよね。そのなかに「What a Wonderful World」も収録されていて、「豊年音頭」で終わるところもいいし。
上江洌 「What a Wonderful World」の音のイメージは2009年の時点ですでにあって、WWWのプロモーションとして使えたらいいなって思っていたんです。でも、そのときはタイミングがあわず……。『etc.works2』でやっと形にすることができたんです。「豊年音頭」は、超助かりましたよ。「豊年音頭」にしんちゃん(津波信一)が参加してくれていて、ライブツアーでも注意事項とかのナレーションをお願いしたんです。ライブが始まる前の前説で流したんですけど、お客さんも地域ごとにどっかーんと笑ってくれたり、失笑だったりして(笑)。見事な流れでした。
― 津波信一さんも音楽を通して結びつくことができた一人ですよね。13年間の流れのなかで培ってきたものが確実にカタチになってる。それが、WWWにも繋がっていていますよね。WWWのコンセプトにもあるけど、沖縄をハブにして、音楽をハブにして、みんなで感じてもらいたいですね。
上江洌 今は、WWWのトリをモンパチが2日間務めさせてもらってるけど、いずれ、モンパチは一発目だけ出て、誰かにトリをお願いする……なんてこともあっていいかなって考えています。あとは、中国、台湾、韓国から1バンドずつとか呼びたい!! アジアのバンドにも出てほしいな……なんて考えています。そしたら、アジアからもお客さんが来てくれるだろうし、オフシーズンに1万2~3000人の4割ぐらい県外から来てくれたら、それなりの経済効果もあるし。ライブを楽しんで、なおかつちゃんと文化的な交流もできて……それが次の理想かな。
― 3月11日の東日本大震災を受けて、WWWを全国でできたじゃないですか。東北でもパプリックビューイングを行いましたよね。あれって、やっぱり沖縄じゃないと実現できなかったと思うんですよね。
上江洌 「まだ自粛するべきでは……」なんて声も当然あったけど……、一ヶ月後の開催、早かったですよね。出演者はもちろんノーギャラだったけど、たくさんのアーティストさんが集まって、楽屋の雰囲気もとってもよかったんです。ジャンルも関係なく……なんか模合みたいな感じで。みんな同じビジョンを持っていて、純粋にアーティストが自分が出来ることで何かを表現してるんだなって感じました。それがすごい良いなって思って。
儀間 仙台でやったパプリックビューイングの話も聞いて感動しましたからね。現地の方に喜んでもらえて本当にうれしかった。映像と音だけだったけど、沖縄から発信した最初のライブで、地震以降初めて爆音だしたイベントだったんです。業者さんに裏方のスタッフ、アーティスト、お客さん……、みんなで一つになったときのあの力がすごいなって感じました。
上江洌 ZEPP仙台のほか、岩手、盛岡……ってあちこちで見られるようして……って感じで、全部とんとん拍子で決まっていって、開催するって決めてから2週間あったかないか位ですね。テレビを通してではあるけど、仙台をはじめとしたみなさんにタイムリーに見てもらえてよかったです。義援金も結果を残せたし。あれだけたくさんのお客さんが足を運んでくれたっていうのが、アーティストだけではなく、お客さんも同じ意識を持ってイベントに参加しているっていうのが伝わったんじゃないかな。
― 4月のWWWもそうですが、モンゴル800さんが音楽活動を通して伝えたいことがストレートに伝わっている。伝えたいことがさらにグローイングアップしているように感じます。
上江洌 自然と続けている……っていうか、昔は出来なかったことが、気がつけば今は実現できるようになったという感じ。少なからず成長できているから、それは自信にもなる。地道に無理をせずに続けていくことが、いちばんなんだなって思います。もちろん、ドーンと決めるときは決めますよ! モンパチってすごい恵まれてて、純粋に好きな音楽をやっていいんだっていうお墨付きをもらってる。そこに甘んじないで、ちゃんと向上していきたい。なんだかんだ13年間やってきて、それがWWWに繋がったりして形になっています。
高里 周りにかわいがられているっていうのは分かります。だから、感謝しています。ほかのバンドから天然記念物扱いみたいな、珍しがられている感じもあるんですよね。そのへんはありがたいっちゃありがたいし、お客さんもそうやって見てくれているおかげで、いつも自由に無理しないでやっていける。「予想は裏切るけど、期待は裏切らない! 」。これからも、そういうバンドでいたいですね。
儀間 これからもいろんなことをやっていきたい。いろんなことが起るだろうし、それも楽しみ。続けていればいい。そんな感じです。
上江洌 モンパチをハブに年齢、性別、人種、国境を超えて、さまざまな人たちがいろんな形で自由に交わってほしい。音楽、ライブをハブに平和的に自由に交わってほしい。音楽を通して沖縄に何か少しでも還元できること。それが小さな島に生まれたバンドマンの大きな夢ですね。
<PROFILE>
1998年結成。上江洌清作(Vo、B)、高里悟(Dr、Vo)、儀間崇(G、Vo)。2001年リリース「message」など、MONGOL800独特の世界観に魅了された幅広い世代に指示され続けている。2011年10月、2回目となる自身主催のフェス「MONGOL800 ga FESTIVAL “ What a Wonderful World!! 11 ” 」を開催。日本全国のアーティスト、オーディエンスが集結した。
【MONGOL800/etc.works2】
ARTIST:MONGOL800
CD TITLE:『etc.works2』
RELEASE:11年5月18日
PRICE:2,500円(tax in)
CODE:HICC-3201
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