2011年12月23日
ミニアルバム『Yet the earth does move』を配信&ライブ会場限定でCD販売中のD-51。デビューした頃は20代前半だった彼らも、現在は20代後半。音楽に求めることも年々とレベルアップするなか、やはりそこには音楽を生み出す故の葛藤や達成がありました。それらの経験が音楽性の幅を広げているのは確実で、ファン、友達、家族、アーティスト……との出会いもD-51を成長させてきました。その証明とも言えるのが、今作に収録されている楽曲「空」。「制作中かなり追い詰められて作曲がうまくいかなかったけど、その状況が逆に良い方向に進んだ(Yu)」と話す「空」は、D-51としての新境地を切り開く、壮大な一曲に仕上がりました。2011年は、憧れの先輩アーティストVlidgeとコラボした、期間限定ユニットMonster roarとしての活躍も目立った彼ら。それらを含め、「今年は音楽を作り出すことを勉強した一年だった(Yasu)」と話す言葉に、音楽と真正面に向き合う姿勢が感じられました。2012年は、D-51からどのような音楽が発信されるのか—。乞うご期待!!
ー 配信&ライブ会場でのみCD販売されているミニアルバム『Yet the earth does move』。なかでも「空」は、今までのD-51とはちょっと違った一面が見える楽曲になっていますよね。高音を得意とするD-51さんらしく、サビがとっても印象的で。
Yasu そうですね、結構がんばっています(笑)。キーは高いけど男臭さを感じられる曲です。例えば、気怠い気持ちのとき、ふと広い空を見てポジティブな気持ちに切り替える瞬間がありますよね。そこからさらに前に踏み出すことが大切で、「がんばろう! 」だけではなく、自分の悪い部分を受け止めて、辛かったことを乗り越える力が必要だと思うんです。そこに男臭さを感じるというか……、僕のなかではそういう部分がかっこいいって思えますね。今回の作品は4曲全ての歌詞を僕が書いたんですが、なかでも「空」は今の状況、気持ちをしっかり表現できたなって思います。Yuとも話すんですけど、最近の歌ってカラオケ目線の歌が多いんですよね。一般の人の声域がどれくらいかっていうのは個人差があると思うけど、それでも一般の人が歌いやすい楽曲をリリースしたら売れる……みたいな流れがあると思うんです。だから、僕らも一時期、キーを下げようかって話し合いをしたことがあって。でも、やっぱり音楽ってカラオケで歌いやすい歌を作るのではなく、「いい楽曲だからカラオケで歌いたい」って思える音楽を作ることが大切で、その順番を変えてしまうと僕らは歌う意味がないんですよね。だから、声が出なくても、高音に挑戦してもらおうって方向を突き詰めることにしたんです。その高音を出すことで、「歌いきることができた! 」って達成感を感じてもらいましょうと。僕たちもそうやってクリアすることで高音が出るようになったし。もちろん、歌いやすいキーの音楽もあっていいと思うけど、僕たちが目指す場所はそこではないです。キーが高いのはD-51の持ち味なんで、これからもどんどん出していきますよ(笑)。
Yu D-51ってバラードや切ない系の歌い込む曲に行きがちなんですけど、今回の「空」はバラードでもなく切ない系でもない音楽になりました。実は、制作中かなり追い詰められて作曲がうまくいかなかったけど、その状況が逆に良い方向に進んで、あるときを境にAメロ、Bメロ、サビ……ってスラスラ出てきたんです。そこで発見したのが、追いつめられた方がいいものが生まれるってこと。締切の期間が長ければ長いほどやらないタイプで、やってるフリはするけど、実際とりかかるのは3日前だったりして(笑)。途中、やる気は起こすけど、結局は響く音楽が作れないって分かったので、今後は自分を追いつめながら曲を作りたいなと思います(笑)。でも、本当に「空」は自分たちにとって新たなD-51を築けた感じがありますね。じっくり聴いてほしい! って思います。
ー 本当、壮大な一曲で映画のエンディングのような印象も受けました。やりきった感というか、自分の中で到達地点が見えたときの充実感が伝わってくるというか……。残りの3曲も、それぞれD-51さんの世界観がはっきり描かれていますよね。
Yu D-51の得意な切ない曲「RainyDays」は、個人的に好きな曲ですね。大サビのファルセット(通常より高音で歌う唱法)で、自然なオクターブでハモっているラインとかがかっこいいと思っていて、そこが「RainyDays」の聴きどころ、ポイントになっています。
Yasu クリスマスソングは毎年挑戦するんですが、去年は失恋ソングだったので、今年のクリスマスソング「Christmas Snow」は、楽しい楽曲にしました。自分のなかで好きな流れがあって、1サビ、2サビ、大サビの部分を、全部同じ歌詞、メロディーで歌っているんですね。そこの部分をいかに違う歌詞、メロディとして聴かせられるか、ってことにハマっているんです。同じなのに違うものとして聴かせることができたらスゴイじゃないですか。それに挑戦しました。
Yu 「Dear…」は、今回の制作時期より前に作っていた楽曲で、一昨年ぐらいにワンコーラスだけできていたんです。テレビ番組の特番のため、「20年後の自分」をテーマに作った曲なんですけど、その曲を今回完成させました。2人組ならではのかっこいい曲に仕上がったと思います。
ー アルバムのタイトル『Yet the earth does move』は何か意図していることはあるんですか?
Yasu 『Yet the earth does move=(それでも地球は回っている)』は、ガリレオ・ガリレイが裁判中に言った言葉なんですが、とっても奥が深いと思って。僕が知ってる範囲では、当時は地球を中心に周りの星が回っている天動説が有力とされていたため、地動説を唱えていたガリレオ・ガリレイは裁判に掛けられてしまったんですね。そこで、地動説を否定する文を強制的に唱えさせられあと、「それでも地球は回っている」って、ぼそっと口にしたんです。そこがかっこいいなと思って。人は日々いろんなことがあって、辛い出来事に遭遇した人もいれば、うれしい思いをした人もいる。特に変わったことが起きず、普通に過ごす人もいると思うんです。それでも、地球って変わらないペースで動いているんですよね。僕の人生はもうダメだ……って躊躇したりしても、世界の時間って変わらず動く。みんな平等の時間があるんです。どんな状況であっても時が過ぎるのでれば、じっとしていられない。そこにチャンスがあるって思えたんです。だから、そのことを伝えたくてこのタイトルにしました。
― 確かに。そう考えると肩の力も抜けて、本来の力を発揮できるかもしれないですね。何度かお二人の言葉から「かっこいい」って言葉が出てきたんですが、D-51さんの曲作りのなかでキーワードになってる気がします。
Yu アーティストとして活動するなかで「かっこいいと思えるものを作りたい! 」っていうのが、ストリートとして歌っているときから信念としてあって……。でも、実際は思っていることが形にできないこともありました。それは、自分たちで作曲をしていなかったっていうのも一つの原因だったけど、4thアルバムの『Daisy』辺りから描いているものが形になってきて……。だから、今回もD-51として一段上に上がれる曲を作ることができたなって感じています。歌っている僕らとスタッフ、お客さんそれぞれの音楽に対する感覚って違うと思うんですね。音楽をやってて、「どうだ! 」って自信を持って見せることができるようになってきたのは、本当にここ最近ですね。
Yasu 僕らも20代後半になったんですが、最初に歌い始めたときは崇拝に近いぐらいVlidgeをデュオとして尊敬していて、Vlidgeになりたいと思いながら活動をしていたんです。しかも、「R&Bがかっこいいからやりたい。リズムはヒップホップっぽく」とかって、表面的な音楽を求めていたんですよね。でも、自分たちで音楽を作るようになって思ったことは、やっぱり僕たちはVlidgeになれないし、僕らにしかできないことがあるってことでした。そこで、唯一無二のものを作っていきたいって感じたんです。そして、「あっ、このポップスかっこいいな」って思ってもらえる音楽を作りたいって思ったんです。ポップスってちょっと敬遠される傾向があるじゃないですか。でも、ジャンルとかではなく、「かっこいいものはかっこいい」って言ってもらえる音楽をD-51として作っていきたい。音楽って時代ごと、季節ごとにリスナーの求めるものって違うと思うけど、僕たちが自信を持って届けた音楽、リスナーの求めていた音楽が合致するものを作りたいです。
Yu あとは、聴いている人の日常のなかに自然と入っていく音楽! 歌詞でもメロディーでもいいから、さらっと聴いて終わるんじゃなくて、ちょっとでもいいからその人の感情に入り込めるような音楽を作りたいですね。
― さっきも名前が出てきたVlidgeさんとはMonster roarとして一緒に活動しましたが、人との出会いがD-51の作り出す音楽に影響を与えた=刺激になったりもしていますか?
Yasu 出会いそのものが楽曲に反映されるわけではなく、精神的に支えてくれる部分が大きいです。ライブのステージに立つとき自信に繋がったり、音楽を続ける力になっています。リアルな話、20代後半になってくると、このまま音楽を続けられるのかって不安を感じることもあるけど、友達にD-51の楽曲を聴いてもらったときに「よかったよ」とかって反応が戻ってくるとうれしいです。だから、アーティストだけではなく友達も含めてすべての出会いが、もっといい楽曲を作ろうって気合いを入れるきっかけにもなるし、いい意味でプレッシャーにもなっています。出会いがD-51を成長させてくれてる部分は確実にありますね。
ー そもそも、Monster roarとしての活動するきっかけは何だったんですか? 憧れている先輩と一緒にユニットを組むって幸せですよね。
Yasu 事の発端は、去年お互いのワンマンの日程が被ったことがきっかけでした。僕たちD-51がVlidgeの前座としてステージに立って、Vlidgeには僕たちのアンコールに出てもらったんです。そのとき、打ち上げも合同でやって、遊びで何かしたいねって話をしていたら本当にユニットを組むことになって(笑)。お金を使ってるのに事務所には悪いけど、僕たちにとってはストレス解消になりました。制作を続けていると、どうしても頭が固くなっちゃうんです。それを一旦リセットできたというか……。夏だけ活動するって話しだったけどイベントの依頼が来て、限定とは言いつつ断る理由がないからそのあとも一緒にイベントに出たりして(笑)。ワイワイと楽しく活動できて、その雰囲気をお客さんも感じとってくれたんじゃないかなと思います。
Yu そうそう、期間限定だったのに、あの後2回ぐらい一緒にステージに立って4人ではっちゃけてましたから(笑)。変な感じだった~。デビュー前、「Vlidgeさん、何してるんだろうね 」なんて話をしていたのに、憧れの先輩アーティストと同じステージに立って、同じユニットとして活動するのは、楽しいというよりは不思議な感じがしました。4人で曲作りをして、それが良い刺激にもなったから、今後もMonster roarとして活動する場があったらいいなって思います。D-51とはまた違ったテンション、カラーで活動できるので……。
― Monster roarとしての活動は、D-51さんにとって大きな出来事ですよね。そのほか、2011年で印象に残っていることってありますか?
Yasu 今年は音楽を作り出すことを勉強した一年でした。今回の作品『Yet the earth does move』を出すまで試行錯誤したし。毎年、D-51から発信する音楽のクオリティを挙げるようにしているんですけど、今年ほど音楽のことを考えていた年はなかったんじゃないかな~って思います。実は僕たち、アーティストさんに提供する楽曲も作ったりしてるんです。とはいえ、まだ一度も採用されたことはないんですけど、僕たちがやったことのない音楽のリクエストがくるときもあるんですね。そこへの挑戦もあったから、去年より作曲数が確実に増えたし、まだまだ知らない日本語が多いなって気付かされることもあって……。自分たちで歌う歌ではなく、ほかのアーティストさんが歌うことを考慮して作品を作ることで、客観的に音楽と向き合う機会ができました。それに、Monster roarとしての活動が今回の作品にもいい影響を与えてくれています。
Yu 音楽的な話しはやっちゃんと被るから、じゃあ、僕は歯医者さんでの話しを(笑)。そんなに虫歯があったわけではないけど、ある歯医者さんに行ったら治療が上手で痛くなかったので、2日に一回ぐらいのペースで通いました。おかげで、虫歯も全部治りました!! すいません、音楽と関係ないですけど(笑)。
ー プライベートな話題までありがとうございます(笑)。この一年の成果を出せるのが、12月23日開催のワンマン『D-51 LIVE TOUR 2011 「Yet the earth does move」』ですよね。この時期恒例のD-51さんのライブツアーの日程を聞くと、「今年も残りわずかか~」って、この一年を振り返ったりしています(笑)。
Yu そこは、スタッフの魂胆でファンクラブミーティングに合わせてツアーを組まれてるんですよね(笑)。毎回そうだけど、お客さんも巻き込んで、しっかり楽しみたいです。今回は新曲もあるし、久々に歌う曲もあったりするので、僕たちもお客さんも、ライブが終わったあとやりきった感が出るよなライブにして年を越したいです。
Yasu 一年ぶりのワンマンなので、思いっきり楽しみたいですね。
― では、最後に来年の豊富を聞かせてください。
Yasu そうですね……まだ、楽曲提供のために作った作品が通ったことがないので、来年は提供できるような楽曲を作りたいです。あとは30代になるので、新しいこともはじめたいし……。体のケアもしなきゃいけないですよね(笑)。
Yu 来年になったら新たな夢ができるかもしれないけど、今は、ライブツアーを12月ではなく、違うときにやってみたいな~って思います(マネージャーに目線を送る)。もちろん、いい曲もたくさん作って、D-51としてさらに成長できればと思います!!
【D-51プロフィール】
2002年結成。Yasu、Yu からなるボーカルデュオで、2004年「TOP OF THE SUMMER」でメジャーデビュー。2005年、日本テレビ系列「ごくせん」の主題歌「NO MORE CRY」で一気に知名度を上げ、後に映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のタイアップなども務めた。2008年には初のベストアルバム『BEST OF D-51』を発売。2011年には新たな試みとして、D-51が尊敬するVlidgeと期間限定ユニットMonster roarを結成。抜群の歌唱力で魅了し続けている。
【D-51/Yet the earth does move】
ARTIST:D-51
CD TITLE:『Yet the earth does move』
RELEASE:11年12月7日(配信)/ツアー会場/通販(12年1月10日受付開始)でCD販売
D-51 LIVE TOUR 2011「Yet the earth does move」
日程:12月23日(金・祝)
場所:SALT&PEPPER
時間:18:00開場 18:30開演
料金:前売3,500円 ※整理番号付き/ドリンク代別
問合:PMエージェンシー TEL.098-898-1331(平日 10:00~18:00)