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2011年4月29日

pokke104インタビュー 沖縄の自然・文化・想いがクリエイティブの原点

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CM 出演やワークショップ、ライブペインティングに、グラフィックデザインなど、多岐に渡って活動する沖縄県出身のイラストレーター pokke104 。県内外で活躍する彼女の絵からは、力強さと優しさ、そして命のエネルギーを感じる。そんな pokke104 にアーティストとしての活動や作品、プライベートについて話を聞いた。

ーpokke104 さんの活動の拠点はどこですか?
最近は東京と沖縄を行ったり来たりしています。夏場はイベントが多いので、沖縄が多いかもしれないですが、時期によってばらばらです。

ーpokke104 さんの絵はとてもカラフルで、見ていると元気をもらえます。絵のイメージはどこからきているのですか?
小さいころによく登ったガジュマルの木や、海の中で見たサンゴ礁からだと思います。絵のラインはガジュマル、色彩はサンゴ礁に住む生き物をイメージしています。プライベートでダイビングを楽しんでいるのですが、海にもぐったときに、魚の鮮やかな青とピンクなど、色のコントラストに感動して…。そういった自然界の色彩や形、模様をイメージして絵を描いています。
ー実際に沖縄で体感した色や曲線が表現されているということですね。
そうですね。沖縄はもちろん、私がいままでにさまざまな場所で見てきたものも含まれます。絵を通してそれらを表現できたらいいなって思っています。

ー沖縄以外で印象的だった場所はどこですか?
伊勢神宮です。境内にあったガジュマルの木みたいにくねった形の木がとても素敵で。私の両手を広げた幅よりも大きな木だったのですが、とても神秘的で感動しました。土地ならではの木を見るのが好きですね。
ーそういう魅力的な景色に出会ったときに絵を描きたくなったりしますか?
はい、そうですね。他にも、モチベーションをあげてくれる人との出会いも絵を描きたくなる要素のひとつです。だから、人との出会いも私にとってとても重要。それから、音楽を聞いても、絵が描きたくなったりもします。
ーどんな音楽を聞きますか?
アフリカの太鼓で奏でる軽快なリズムは、想像するだけでもワクワクさせられますし、曲を聴くと、そのテンポにあわせて絵を描きたくなります。それとは対照的に、水が静かに流れる音も好きです。ライブペイントでは、さまざまな音にあわせて即興で絵を描くのですが、その時その時で全く違った作品に仕上がるのが、楽しいですね。

ー2008年に具志頭浜で開催されたDENKIROKで、pokke104 さんのライブペイントを見たことがあります。丸いキャンバスも印象的だったし、映像や音など、演出にもすごくこだわりを感じました。
ありがとうございます。水泡って水から生まれてくるものっていうイメージですよね。丸は水泡をイメージしています。ライブペイントを映像で演出するときは、TWINKLE☆JAM(トゥインクル☆ジャム)というユニットで活動しています。TWINKLE☆JAM として一緒に活動しているふくちゃんは、家事や子育てをこなしながら、アーティストとしても素敵な作品を手がける私の
理想の人。彼女からもたくさん刺激を受けて、楽しく活動させてもらっています。

ーライブペイントのときは、最初である程度の完成イメージがあるんですか?
いいえ、ないですね。イベントのコンセプトとそれに対する自分のイメージにあわせて作品を描くようにしているので、コンセプトは常に意識して絵を描いていますが、描く瞬間までほとんど何を描くか決めていません。キャンバスと会話をしてぶつかりながら、聞こえてくる声や音に耳をかたむけて、感じるようにしています。ハワイアンの音楽が流れていたら、モンステラの葉を描いてみたり、月の下で描くときはサンゴ礁やサンゴの産卵を描いてみたり、創作する場所の雰囲気によって作品が全く違うものに変わっていくのが面白いです。あの音からこのモチーフが生まれたんだっていう風に、見ている人にも作品のストーリーを感じてもらえたらなお嬉しいですね。お喋りしながら、お酒を飲みながら、同じ空間で作品が生まれる瞬間を共有できるのがとても好きです。だから、ライブペインティングはずっと続けていきたいです。
ーライブペイントは過程をみるのが単純に面白いと思っていたけど、実は音ともリンクしているんですね。それを意識しながら作品を見たら、また今までとは違う見方で楽しめますね。
そういう風に楽しんでもらえると嬉しいです。ライブペインティングでは、作品の呼吸が感じられるような空間を作っていきたいです。

ー大きいキャンバスに描くときは、後ろに引いてみて全体のバランスを見ながら描くんですか?
描いている絵を引いて見ることはほとんどないですね。腕の振りで大体の寸法とかバランスとっています。

ーすごいですね。pokke104 さんは、ワークショップも積極的に開催していますよね。
そうですね。私のワークショップには子どもの参加者が多いのですが、対象者を限定せず、家族やカップルで参加したり、おじいちゃんがひとりで来ても楽しめるような空間を目指しています。子どもたちに影響されてすごく才能を発揮するお母さんたちも多いんですよ(笑)。親子合作の素晴らしい作品にも刺激をもらっています。

ー今までで印象的だったワークショップをいくつか教えてください。
以前に、家にあるものを持ち寄って家族のコミュニケーションの場を作ろうというワークショップを開いたことがあります。アットホームな雰囲気のなか、親子が協力して作品を完成させました。また、アウトレットモールあしびなーでは、1年間かけてライブペイントが絵本になる企画をしていました。ガラスに絵本のストーリーを書いて、それから挿絵を描いていくんですけど、隣のスペースにはみんなで同じ空間が共有できるように、ノートや鉛筆、クレヨンなどを使えるコーナーを設けて、参加者と一緒に絵本を完成させました。ほかには、デパートのショウウィンドウに絵を描いて、子どもがのぞいたときに、帽子をかぶっているようにしたり、鼻をつけてシーサーにしたりとか。遊びの延長で、毎回楽しみながらワークショップを開催しています。ワークショップは、コンセプトや参加する人数によって内容が変わってくるので毎回新鮮な気持ちで楽しんでいます。
ー面白い企画ですね。pokke104 さんが企画から関わることもありますか?
そうですね。担当の方と何をしたら楽しいんだろうって打ち合わせしながら企画を練ります。実はそれが創作活動の栄養にもなっているんです。
ーだから、イベント自体が独創的なんですね。
ありがとうございます。毎回自由に描かせてもらって、こんなに自由で大丈夫なのかなってたまに心配になりますけど(笑)。ワークショップを通してさまざまな作品に出会うことで、新鮮な感動を味わっています。創作活動やポスター等の広告デザインのお仕事をするときにも、脳をリフレッシュできたり。同じ絵でも違った角度から見ることで、今まで見えていなかった新しい部分が見えてきます。こういう発見は、ワークショップやライブペイントのおかげだと思っています。

ーワークショップをする際に、気をつけていることってありますか?
そうですね。この色を使っちゃだめとか、これを描いちゃだめって言わないようにしています。自由に好きなものを好きなように描いてほしいので。そんな自由なワークショップを通して、絵を描く楽しみを感じてもらえたら嬉しいです。

ー先月も沖展のイベントの一環として、pokke104 さんのワークショップがありましたよね。
はい。教育出版プレゼンツで開催したワークショップで、「未来の島を描こう」というテーマで絵を描きました。今回は震災があったので、沖縄の島から日本の島にモチーフを変更し、元気な未来の日本の島を海バージョン、山バージョンで2種類描きました。海は津波を連想する子どもたちも多いだろうと思い、太陽の明るい光を受けた黄色い海にしました。また、雲の上には建物があり、そこからかかっている虹をカラフルな魚などの海の生物が渡っていたり、わくわくするような作品に仕上がりました。山バージョンは、去年交通事故が最も多かったヤンバルクイナや、山にいる大切な生き物の絵を描くことで、環境問題についても考えるきっかけになれたらいいなと考えました。とはいえワークショップでは、とにかく楽しんでもらいたいので、小さなヤンバルクイナの赤ちゃんを描いて、それを小さなパネルにして山を走らせてみたり。とても楽しんでもらえたようで良かったです。

ーワークショップを通して実践してみたいことはありますか?
そうですね。楽しんでもらうことが大前提ですが、以前、ちょっと気持ち悪い生き物のスケッチをするという企画をテレビ番組で見たことがあるのですが、最初はみんながその生物を気持ち悪がって、嫌だと言っていたけど、その絵を描くうちに、触れることができるようになって、最終的には「だんだん可愛くみえてきちゃった」って言った女の子がいたんです。そのときに、きっと人には固定観念があって、それを覆すためには知ることが大事だと思ったんです。まず目を向けることが好きになることの第一歩かもしれないって。そんな機会をワークショップにも取り入れていきたいなって思っています。

ー作品にはどういったメッセージや言葉を込めていますか?
ワークショップにはテーマがあって、例えば、前回の沖展では、「未来の島を描こう」というテーマで、それぞれが未来に残したい奇麗な海や魚、サンゴ礁などを自由に描いてもらいました。想像して想いを形にします。そして、みんなで手がけた作品が大きな絵手紙として、さまざまなメッセージを届けることをイメージしています。私個人の作品においては、私の好きな沖縄音楽や琉球舞踊、琉歌を聞いたり、ダイビングなどで自然に触れることで、沖縄の魅力を再認識し、この島を愛おしく思う気持ちを絵にしていけたらいいなって思っています。

ー普段の生活の中で楽しい、好きな時間ってありますか?
はい、あります。私は海にもぐるのも好きですし、山を歩くもの好きです。とにかく、自然の中で遊ぶのが好きなアウトドア派です。だから、アウトドアショップに行くとわくわくします(笑)。去年初めて富士山に登ったときには、星が思ったよりも近くにあるなど、色んな発見がありました。好きなことをできる時間があるからこそ、仕事や創作活動も頑張れるんだと思っています。
ー趣味が仕事にも活きてくる感じですね。
そうですね。趣味で山を散策していても、「この木の実はワークショップでどのように使えるだろう」って、作品づくりにつなげて考えてしまいます(笑)。あと、国内に限らず海外のもそうですが、テレビ番組を見ていても可愛い看板を見つけると、いつか可愛い事務所ができたときにはこんな看板にしようとか考えて、わくわくします。
ー生活の一部にクリエイティブが根付いているのですね。
はい、そうですね。私のまわりにはモノづくりしている人が多いので、プライベートでもみんなの作品を見て、刺激を受けています。だからとても楽しいです。

ー実は、さっきからpokke104 さんが身につけているアクセサリーが気になっているんですけど。「金細工またよし」のシルバーアクセサリーですよね?
はい、これは私が尊敬する又吉健次郎さんの作品で、私の知らない沖縄の歴史や先人の教えなどを教えてもらっています。この房指輪(ふさゆびわ)の7つのシンボルには、それぞれに意味が込められていています。例えば、花は華やかな生活を送れるように、魚は食べ物に困らないように、葉っぱは着るものに困らないように、桃は長寿を願うなど、母が娘を想う気持ちが込められているんです。初めてこの房指輪の意味を知ったとき、なんて素敵な文化だろうと、とても感動し、衝撃を受けました。それをきっかけに、沖縄の伝統工芸に興味をもち、「房指輪」という展示会を開きました。そこでは房指輪の7つの想いにストーリーを加えた絵を手がけました。沖縄の先人の想いが込められたものを身に付けたり、沖縄の音楽を聞いていると、亡くなった祖父やご先祖様に守られている感覚が生まれてきて、とてもあたたかい気持ちになるんです。だから、どこに行くときもこの房指輪を身に付けるようにしています。
ーpokke104 さんにとって沖縄は必要不可欠な存在なんですね。
はい、もちろんです。昔は沖縄の自然や、琉球舞踊も音楽も食べ物も、そして方言も。そのきっかけは、11年前にダイビングをして、海で美しい世界を見てから。この素敵な場所に生まれてきたことにすごく感謝しました。それから沖縄について調べるようになり、ますます沖縄が大好きになりました。


ー最後に沖縄LOVEweb の読者へ一言お願いします。
沖縄LOVEweb をご覧のみなさま、こんにちは。今回はpokke104 の特集記事を読んでいただき、本当にありがとうございます。これからも、ライブペイントやワークショップ、デザインなど、さまざまな分野で活動していきますので、道で見かけた際には、気軽に声をかけてくださいね。イベントにもぜひ遊びにいらしてください。ありがとうございました。


母の日に手作りプレゼントをおくろう!『ひがたのいきもの モビールづくり!』
日程:5月7日(日)
場所:泡瀬干潟 泡瀬うみえら館
   沖縄県沖縄市泡瀬3-47-1
時間:自然観察会 13:00〜15:00
   ワークショップ 15:00〜16:00
料金:500円 ※ドリンク・材料費込み
定員:20名
講師:pokke104
問合:泡瀬干潟 泡瀬うみえら館 TEL.098-927-0016


Tropical Lovers Beach Festa 2011
~東北関東大震災チャリティーイベント~

日程:6月19日(日)
場所:フサキリゾートヴィレッジ サンセットステージ
時間:13:00開場 14:00開演 21:00終演
料金:前売 大人3,500円 中・高生2,500円
   当日 大人4,500円 中・高生3,500円
出演:かりゆし58/九州男/YU-A/SONPUB feat.WISE from TERIYAKIBOYZ(SIDE MC)
   LOW IQ &THE BEAT BREAKER/カワミツサヤカ
ライブペインティング:pokke104/大城英天/神田さおり
問合:トロピカルラヴァーズ実行委員会 TEL.0980-88-7000
公式サイト:Tropical Lovers Beach Festa 2011

STAR FESTIVAL【Message of Love】Vol.5
日程:7月1日(金)〜3日(日)
場所:屋我地島 済井出ビーチ
時間:決定し次第公式ブログにて更新
料金:決定し次第公式ブログにて更新
出演:DJ:MOODMAN/DJ YOGURT/YA△MA/Shhhhh/SINKICHI
   HIKARU(Blast Head)/DULO a.k.a. DJ KIYO/ALAKI (onsa)
   KALA + orhythmo/sary/ヒダユカ/bimidori
   LIVE:花バンド/OLAibi & トンチ & ∞
   LIVE PAINTING:twinkle☆jam(pokke104 & fc∞py)/スドウPユウジ
   VISUAL EFFECTS:SAKKAKU
   DECORATION:
   PRISMIC FLOLA(fc∞py + KALA + mahorama + halcony + 紗鼓 + 李 素∞福 + chiyumi)
   SOUND & LIGHTING:Stageing Okinawa
Twitter:@MOL7123

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