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2011年7月28日

しゃかりインタビュー 幸せと笑顔を届ける究極のアルバムが完成

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「幸せと笑顔をつなぐ 一枚でありますよう 願いを込めて…」という、しゃかりの想いがぎっしりと詰まった8thアルバム『笑って』。チアキのソロ活動も経て完成した今作は、いままで以上にシンプルで、心安らぐ一枚に仕上がっている。auのCMソングとしておなじみの「笑って」、ストレートな言葉で表現された歌詞が印象的な「祈り」など、全8曲の楽曲を収録したアルバムについての話を中心に、3月11日の東日本大震災後、縁があって訪れたという被災地でのエピソードについても語ってもらった。歌の力、深さを感じるインタビューです。

―前作の『僕という名の地図』から3年―。ここ3、4年で積み上げた経験がそのまま音として表れたアルバムですよね。チアキさんがその間で得たものは何ですか?
チアキ やっぱり角松敏生さんとの出会いは大きいですね。歌詞に対する考え方や音に対するこだわり、クオリティーに変化がありました。プロフェッショナルな方たちと一緒に舞台にも立たせてもらって、ものすごく自分がシンプルになったんです。飾ってもばれちゃうんですよね。角松さんたちって、やっぱり芯があるからどんなことしても本物で、すごいパフォーマンス、そして、クオリティも持ち合わせてる。この世界って芯がないといけないって強く感じたんです。歌者としても、演奏者としてもさらに強くないと…って。

―でも、もともとチアキさんの歌って、基本的にはシンプルで芯があると感じていたのですが…。
チアキ
う~ん。でも、力が入ることが多かったんですよね。とくにディアマンティスの頃は年齢も関係してたと思うけど、すごく力んでたと思う。声もそうだけど、何かをやってやろうみたいな。
カンナリ バイクで言えばふかし過ぎみたいなね。若い頃はそうだと思う。でも、よく考えてみると、最終的には自分が持ってるものしかだせないんだよね。経験を重ねていったり、たくさん表現したなかでの通過点もしくは第一ポイントとして、そこに気付くことができるというか。
チアキ 20代の頃に好きだった音楽がハードロックだったり、はたまた演歌が好きな時期もあって、自分のなかに取り込んだテクニックに対して「スゴイ」って思われたい時期もあったんです。でも、自分ってなんだろうって思ったとき、それでは人の心に響く歌を届けられないんじゃないかって気付いたんですよね。いちばん自分らしくいられる場所は、しゃかりの歌を歌っているときなので、どんどんシンプルになっていってると思います。
カンナリ ソロ活動のなかでいろんな楽曲と出会ってチャレンジしたことで、チアキの中でしゃかりとしての役割を再認識できる場にもなったと思うんだよね。しゃかりとしてのチアキがあってこそ、ソロ活動のチアキがあると思うから。そして、それがあったからこそ、今のしゃかりがあるね。

―しゃかりから離れることで面白い発見をしたり、しゃかりの良さも再認識できたんですね。今回のアルバムのジャケットに書かれたメッセージがアルバムのキーワードになっていて、チアキさんの思いが込められている感じがしたんですがいかがですか。
チアキ
「辛い」という字に線を一つだけ加えたら「幸せ」になる。このメッセージでいつも私を励ましてくれているお友達がいるんです。その友達がいま病と戦っていて、今度は自分が応援する番だと思って、2年前の夏に「笑って」という曲を作ったんです。友達も本当に喜んでくれて。その当時から「笑って」を柱にしたしゃかりのアルバムを作ることは目標として決めていたので、ほかの楽曲もスムーズに出来上がっていきましたね。
カンナリ 全ての歌詞に「笑顔」って言葉が入ってるんだよね。しゃかりの歌詞って「幸せに向かってどう進むか」っていうのがコンセプトになっていることが多いんだけど、意識したわけじゃなく、必然と笑顔って言葉が入ってたんです。「笑って」という曲を柱にしたので、自然にそうなったんですよね。

―チアキさんが歌っている一言一言が心に染みる楽曲ばかりですよね。「笑って」の歌詞はすらすらと出てきたんですか。
カンナリ
いつも作曲するときは締切を聞いて、それまでに曲を作っておくって感じなんだけど、この曲に関しては方向性だけ決めて作ってたんだよね。チアキも闘病中の友達に歌を作りたいって言ってきたので、さくさくと出来上がっていったんです。誰かを励ますために作るから早かったです。
チアキ そう、もうサビを聴いた瞬間、「笑って」という言葉しか浮かばなくて。こういう瞬間ってたまにあるんです。サビやフレーズに対して、この言葉しか浮かばない! みたいな瞬間が。ずっと彼女のことを考えて書いたから、歌詞はさらさらと出てきました。常日頃思っていることが、歌詞には出てきますしね。個人的な強い想いで作った曲ではあるんですけど、連鎖反応みたいなのが起きて、みんなに伝わったらいいなって思います。

―対象者ははっきりしてるけど、たくさんの人に届けたい曲ですね。3曲目の「祈り」は80年代のサウンドが際立ってますね~。それに、歌詞も今まで以上に強い言葉を使ってる気がするんですが…。
チアキ
これは友達が不慮の事件に巻き込まれて亡くなってしまって。ちょうど同じ時期、県外でもとっても考えきれないほど残忍な事件が起こったときに書いた曲なんです。この曲の歌詞自体は10年前に完成していたんですが、今回のアルバムに絶対に入れたいと思って入れた一曲です。今の時代、すごく恵まれているのに、なんでこんな事件が起きるの? って怒りが収まらなかったんですよね。だから、そのままの気持ちをストレートに表現したくて……。「腐敗した」って言葉使ってもいいと思う?って確認しながら作ったんです。
カンナリ そう、「腐敗した」なんて、普段のしゃかりの歌詞では使わない言葉だから。でも、想いから出た言葉だから、まっすぐ表現しないといけないと思って。フィクションならもっときれいな言葉がいいと思うけどね。

―6曲目の「同窓会」は今回のアルバムの中でも最も面白い楽曲ですよね。
カンナリ
これはいちばん最後に作った曲で、楽しんで作りました(笑)。
チアキ そう、ちょっとおふざけですね(笑)。ライブのための一曲です。あと、私が来年、大きな同窓会を控えてるんですよ。で、去年の同窓会で「ちあき同窓会の歌作らんの?」って言われて、酔った勢いで「作りま~す」って言っちゃったもんだから、これは作らないとと思って約束を果たしました。
カンナリ 歌詞のなかで、「人生は楽ありゃ苦もあるさ~」ってパクってるからね(笑)。
チアキ だから、パクりって書いてあるさ~。懐かしいあの歌に~って(笑)。
カンナリ この曲にはいろんな人に参加してもらったしね。

―ライブで体感したい一曲ですね。そして、「結まーる」!!
チアキ
今回、縁があって3月11日に東日本大震災で被災した岩手県の宮古市に行かせていただき、歌う機会をいただきました。「結まーる」を歌う前には必ず言葉の意味を説明しました。私たちの先人がいまの美しい沖縄を作り上げ、守ってくれた…と。そして、今度は自分たちが繋げていきたいってお話をして、あとの想いは「結まーる」に託して歌ったんです。その瞬間。この曲を授かってよかったな~って思いました。どんな風に伝わったかは分からないですけど、自分の想いは曲に託すことができました。改めて、言葉の背景にある歴史や意味をものすごく感じました。

―チアキさんには被災地がどのように映りましたか。
チアキ
さらに無力感を痛感しましたが、行ってよかったです。歌の世界観がまた変わりました。不思議なんですが、今になってあのとき感じたことが分かるんです。今回、2か所の会場とある避難所に足を運んだんですが、実際に行くと被災地のあまりの光景にどう表現したらいいのか分からなかったんです。私が泣いてもしょうがないし、ずっと緊張もしてたし。本当、言葉がでなかった。避難所を訪れたときは、ここで音出していいのかなって思いもあったんです。3ヵ月以上もプライバシーのない避難所生活をされて、しかも、ガレキの山になってしまった故郷を見ながら過ごしているって事実を思うと、本当に言葉がでなくて。でも、そんな自分に負けじと、少しでも沖縄のあったかい風と笑顔を届けないとって思って「エイーヤ」って力いっぱい歌いました。会場に来てくれた方々は素直に感情を表してくれて、「笑って」、「くちぐせ」、「結まーる」を歌ったら泣き出す方もいらっしゃったのですが、もっと自分に力があったら、もっと寄り添うことができたのに…って、反省しながら帰ってきました。

―被災地でのエピソードを聞いて、歌の大切さをさらに実感しました。今回のアルバムはサウンドもすごくいいので、ヘッドフォンじゃなくて、ステレオで聴いて欲しいですね。
カンナリ
そうですね。CDプレーヤーで聴いてほしい。今回のミックスは井口さんに担当してもらいました。一曲一曲いろいろやってますよ! とりあえず、音像の大きさと奥行きの感じと広がりはスゴイ! 本当にスゴイ! 上も下も前も後ろも臨場感があるのに、ちゃんと真ん中にボーカルがどんといるからね。
チアキ 今回のレコーディングで感じたんですが、前より無理せず歌えて、曲と自分の声がはまることが多くなりましたね。

―最後に読者にメッセージをください。
チアキ
いつもと変わらず、一つ一つの曲を丁寧に伝えたいです。岩手県でのライブのあと、被災した女性から聞いた話で忘れられないことがあるんです。「保証された明日ってないんだなって気付きましたよ。だから、明日はご褒美なんだから、今をしっかり生きようって思ったんです。だから、このことをチアキさんの言葉でいろんな人に伝えてもらえませんか」って言われたんです。それを聞いて、本当にそうだなって思いました。つい疲れて帰ってくると、明日やればいいやーって後回しにしちゃうけど、明日はないって勢いで自分もやっていかないといけないなって。一回一回のステージを、そしてどんな瞬間でも、歌を歌うっていう自分の役目を果たして、丁寧にちゃんと伝えようって思いました。そんな想いを込めた歌をぜひ聴いてほしいです。しゃかりの歌を聞いて、たくさんの方に笑顔になっていただけたらうれしいです。

【プロフィール】
DIAMANTISのコーラスを務めていたチアキ(Vo)、りんけんバンドのドラマーとして活動していたカンナリ(Dr、パーカッション)が出会い、1998年に結成されたユニット。10周年を迎えた2008年には、初のベストアルバム『僕という名の地図』を発売している。2009年に発売した「結まーる」は、沖縄を代表とする一曲としても知られ、人と人をつなぎ、未来へと平和をつなげていく楽曲へと成長。その後、角松敏生との出会いがきっかけでソロ活動をスタートさせたチアキによる、1stアルバム『CHIAKI』も発売された。しゃかりにとってチャレンジとなった4年間を経て発売された8thアルバム『笑って』は、いままで以上にシンプルで心地よく音楽が伝わる一枚になっている。

【ALBUM Information】
しゃかり『笑って』
【しゃかり/笑って】
ARTIST:しゃかり
CD TITLE:『笑って』
RELEASE:11年7月6日
PRICE:2,000円(tax in.)
CODE:MUSISM-004

しゃかり8thアルバム“笑って”発売記念ライブ
日程:8月6日(土)
場所:cafe GREEN GREEN(北中城)
時間:ティータイムライブ 16:00開演(11:00~15:00ランチ、15:00~17:30ティータイム)
ディナータイムライブ 19:00開場 20:00開演
料金:ティータイムライブ 前売り2,000円 ※ドリンク付き。当日券2,500円。
ディナータイムライブ 前売り2,500円 ※ドリンク付き。別途要オーダー。当日券3,000円。
問合:cafe GREEN GREEN TEL:098-935-0039

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