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2011年9月21日

KACHIMBA4インタビュー 約6年ぶりの7thアルバム『i Busca la Felicidad!』徹底解剖!!

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約6年ぶりの7thアルバム『¡Busca la Felicidad!』徹底解剖!!

沖縄から発信されるKACHIMBA DXのオリジナリティあふれる音楽は、いまや “ オキナワンサルサ ” と呼ばれるほど定着し、日本だけではなく、世界でも広く認知されるほどの力を持っています。しかし、最初は “ オキナワンサルサ ” と位置づけられることに少し抵抗を感じたのだとか。ところが、海外でライブ経験を積み、KACHIMBA DXとしての音楽性が広がっていくなかで、徐々にその言葉を受け入れられるようになったと言います。そんなKACHIMBA DXが7月にリリースした最新アルバム『i Busca la Felicidad!』。中南米の音楽が色濃く表現された、エネルギッシュな一枚に仕上がっています。メンバーの思い入れの強い楽曲など、制作秘話をたっぷりとお届けします!!

ー アルバムの話を聞く前に…、まず、この何年かでカチンバとしてさまざまな変化がありましたよね。
TARO KACHIMBA DXになるきっかけがあって、4、5年前からボーカルが妊娠したりして、2006年、2007年と相次いでメンバーが抜けて最終的にリズム隊だけ残ったんです。で、残ったメンバーでそれぞれが弾きながら、叩きながら、歌いながらライブをやったりして、僕たちでできることは何かっていうのを模索して…。そして、フル稼働できる体制も作りながら、オリジナルの楽曲も制作しているうちに、結婚して抜けたメンバーが戻ってきたりしたんです。結果、KACHIMBA1551ではなく、誰でも参加できる “ KACHIMBA DX ” として活動していこうってなったんですよね。今回のアルバム『i Busca La Felicidad! 』は、最初からいたメンバーが戻ってきたり、新しいメンバー加わるなかで作りあげました。

ー そのKACHIMBA DXから生まれたのが、約6年ぶりとなる7thアルバム『 i Busca La Felicidad! 』だったんですね。
TARO 「舞れ ~Mo-Re~」は、メンバーが抜けたりしてるときにできた曲だし、「Renueva Tu Corazon」なんかは2002年にできた曲。今回のアルバムはカチンバとしての歴史を含めていろんな要素がありすぎて、一曲一曲への思い入れも違うんです。当初はキューバって国にこだわってやっていたんですけど、途中で音楽などのルーツとか感じるようになってきて、中東や中南米のメキシコっぽい曲をやったり…。「Suenos」のようなドミニカのバチャータってちょっとロマンチックなダンスの曲を取り入れたり。例えば、ラテンの人の血ってアイデンティティがしっかりしていて、キューバのサルサをやる人はニューヨークのサルサはダメ、コロンビアのサルサはダメっていう暗黙の了解みたいなものがあるんです。だから、僕たちがやるキューバをする者からすると、「Suenos」のようなバチャータっていうのは結構タブーな楽曲だったりするんです。でも、今回のアルバムは中南米の旅をイメージできるような一枚にしたくて、ブラジルのサンバも入れてみようとか、やったことのないレゲエも入れてみようって言いながら作りました。そういう意味でもおもしろいアルバムに仕上がりましたね。10年以上もやってるといろんなことがあるけど、どうにかやってこれたっていう、カチンバの集大成みたいなアルバムにもなってるかもしれません。

ー さきほど、一曲一曲への思い入れが違うとおっしゃっていたんですが、それぞれ思い入れの強い楽曲を教えてください。
Kike 自分が歌っている曲なので照れるんですけど、「舞れ ~Mo-Re~」。旧正のときに作ったな~って、今でも当時のことをすごく覚えています。歌い始めの “ モーレ モーレ ” って部分、本当は最初、“ 旧正 旧正 ” って歌ってたんです。旧正のときのファンの集いかなんかで披露した、ちょっとしたネタだったんですよね(笑)。だから、まさかその歌がCDに収録されるなんて思っていなかったんです。コーラス自体も変わってないし。これは、ジャンルでいうとレゲトンになるんです。全編方言で歌えたのがよかったですね。僕たちの世代って方言は聞けるけど、意味は分からないって世代なんですね。だから、方言を勉強しながら作りました。僕のなかでは、その部分がこのアルバムの一つの特徴とも言えるんじゃないかなって思っています。
Rina タイトルにもなっている「Busca La Felicidad」は、いままではずっとピアノで弾いていたんですが、今回はピアノじゃない楽器のサウンドで完成した曲なんです。あと、収録で印象的だったのが「Champion! 」かな。ブラジルパーカッショニストの翁長みどりさんにゲストで参加していただいて、たくさんあるブラジルの鳴り物(パーカッションの小物)の使い方を教えてもらいながら、レコーディングも行いました。聴いているといろんな小物が鳴っているので、細かく聴いくれるとうれしいです。
TARO 「Champion! 」はコーラスも楽器も何回も重ねて録ってるから、総勢100人くらいでやってる音楽になってるかもしれない(笑)。レコーディング自体は10日ぐらいかかったんじゃないかな? 僕たちって細かくこだわってレコーディングできる性格の人間がいないので、精神的にも体力的にも3テイクぐらいでダメだったら気持ちが折れてくるんです(笑)。だから、ダメだったら、それ以上はもうダメで、どんどんネガティブになっていく。そこで現実を知ることもありますね。そう、この曲は最初、サンバ発祥地の音をイメージしていたんですけど、翁長さんがイメージしたのはリオとかのサンバをイメージしたみたいなんです。だから、僕のなかでは太鼓集団でやるイメージだったんですけど、リオのサンバらしく鳴り物をいっぱい使ってやったので、そのおかげでよりみんなが分かりやすいサンバスタイルになりました。「世界のウチナンチュ大会」でも一緒にステージに上がりたいねって話をしていて、翁長さん自身もこの曲で盛り上げようっていう考えを持っていてくれていてうれしいです。
Shu 僕は「だんじゅ嘉例吉」が思い入れが強いかな。映画「サルサとチャンプルー」で、初めて映画内の音楽を担当させてもらったときの一曲なんです。あのときってグループとして変化があった時期で、みんなで作り上げた感が印象的な一曲ですね。それに、移民する人を送りだすときに、悲しい気持ちで送り出すのではなく、明るくがんばっておいでよ~って送りだしている曲なので、曲自体が大好きです。あと、今回いろいろとチャレンジさせてもらって、「ちんぼーら ~Remix~」ではハウス要素を取り入れてみました。去年ぐらいからKACHIMBA4でやっている音楽もそうなんですけど、現代の打ち込みを使ったトランス感のある音楽を勉強して作り上げた一曲で、とても思い入れがあります。
TARO 「ちんぼーら ~Remix~」なんかは、海を最後まで渡りきるって感じで勇ましくアレンジできていてかっこいいです。カチンバ的にもメンバーが人数がいちばん少ない時期だったので、僕も思い入れがありますね。Shuが打ち込みを担当して、一曲はミックスを入れたいねって話をして楽曲を集めたら、この曲がいちばんよかったんだよね。でも、面白いのがこれができた当時は「海の、海の」ってフレーズしか入ってなくて、これ歌詞を入れた方がいいんじゃないって話になったんですよ。盛り上がったあとに歌が入ってくるのかな~って待ってたら、どんどんフェードアウトしていったから(笑)。
Shu そうなんです。「これ、歌が入ってないんだけど~」って言われまして…(笑)。歌なしで雰囲気を感じてもらうつもりだったんですけどね。それも含めて、いろんな思い出が詰まっています(笑)。
TARO 僕は、「Viva La Gente」かな。メキシコのマリアッジってワルツからきている民族音楽のような曲を作りたいって思ってできた曲で、肩を組んで歌える曲にもしたかったんです。だから、この曲にはファンのみなさんの声とかも入ってたり、変なところでトランペットが鳴ってたりします(笑)。ファンの集いっていうのを毎週月曜日にやってて、明るくなるまでみんなでテキーラを飲み明かすんです。なんか泥酔して、トイレから帰ってこなくなる人が出るくらい飲むんだけど、その楽しい雰囲気を曲で表現できないかなと思って作った曲。お酒を飲みながら演る人って少なくて、僕はパーシャクラブさんしか知らないんだけど(笑)。もっとちゃんとやれって意味でお客さんに飲まされて、ぐてんぐてんになって演奏してるんですよね~僕たち(笑)。あと、もう一曲は、先島ミーティングさんとの曲で「夏至南風 ~Special Track~」。これは、東京での伊勢丹のライブで先島ミーティングさんとKACHIMBA4でコラボしてやったときに意気投合して、この曲を世界ウチナンチュ大会のテーマソングに応募しようって話がまとまって録音したんですが…。見事に落ちてしまって。せっかくだからアルバムに入れようってなって収録した分ですね。

ー 今回のアルバムはアーティストの方だけではなく、アートの世界で活躍されている神田サオリさんともコラボされていて、KACHIMBA DXの音楽と神田さんが書かれたジャケットが見事にマッチしていますよね。
TARO コトノハっていうアートカフェがあって、そこのオーナーに「神田サオリさんとカチンバで何かやってほしい」って言われたのがきっかけで、神田さんと出会ったんです。で、ライブペインティングをやったら、お互い気が合いすぎて(笑)。アルバム出すって決まったときにジャケットを書いてもらうようにお願いしたら、快く引き受けてくださったんです。お互いのことを分かり合えてるからこそ生まれたジャケットですよね。最初、この絵を見たとき、びっくりしたんです。っていうのも、今までの彼女にはない新しいテイストの絵だったから。正直、絵のことはよく分からないんですが、ホント人としてのつながりから生まれた、カチンバらしいすばらしい絵です。世界に向けて広がっていく人だと思っています。KACHIMBA DXも同じところに向かっていきたいです。

ー 今回のアルバムが発売されることで、さらにKACHIMBA DXとしてのオリジナリティが深まったと思うんですが、“ オキナワンサルサ ” として位置づけられることについては、どう感じていらっしゃいますか?
TARO 昔はサルサバンドとして全国、世界に行って通用したいって気持ちが強かったから、“ オキナワンサルサ ” ってくくられるのが嫌でした。オキナワンサルサとして勝負すること自体が違和感ありましたね。でも、今になってみるとオキナワンサルサって言われるとうれしいです。そこの意識の変化があったのは、キューバの移民100周年の節目を迎えたときに僕がカチンバ代表でよなは徹くんと一緒にキューバで演奏したとき。そして、キューバの移民についてのドキュメント映画「サルサとチャンプルー」の音楽を全般担当させてもらったときですね。プロデューサーに「沖縄から海を渡って行く人のために歌った曲をやってほしい」って言われて「だんじゅ嘉例吉」を制作したんです。その前の年にキューバに行っていたので、「だんじゅ嘉例吉」とキューバの音楽とのイメージがすごくあって、ミックスしてアレンジしたんです。それが今回のアルバムにも収録されています。2006年頃から南米やキューバ、ブラジルで移民100周年っていう節目があったのを受けて、オキナワンサルサっていうのがあってもいいのかなって思えるようになりました。最初は、内地のファンの皆さんに答えるための沖縄の曲だったんような気がするんですけど、今は沖縄、日本、海外関係なく、たくさんの人に聴いていただいて、沖縄の曲をサルサとして発信できるようになったから。オキナワンサルサって僕たちのオリジナリティでもあったりするんだろうなって思います。サルサバンドって世界中にあって、それぞれ民謡とかを取り入れながらやってるんです。アイルランド民謡や南米だったらフォルクローレを入れた民謡だったり、みんなそれぞれのサルサを作りあげてるから、僕たちもそのなかの一つなんだって捉えていますね。

ー さきほども話に出たように、海外でライブをされて感じることってどんなことがありますか?
TARO 20、30代の人って、民謡を聴いていいなって反応は見せるけど、そこに思い出があるかって言ったら、直接的な思い出はないんですよね。でも、一世、二世の人が民謡を聴くと、やっぱり涙を流して聴いてくれたりするんですよ。そこに、現代の音楽が入ってきたり、ラテンが入ったりすると、「いや~楽しかったよ~」って言ってくれたりするんですよね。そういうのを受けて、時代と時代をまぜてハイブリットすることも必要だなって思いました。中南米や沖縄の音ってニオイが似てる気がするんですよね。歴史的なものも似てる。中南米と沖縄の人ってフィーリングが合うと思います。あと、キューバがなんで好きかっていったら、音楽ももちろんだけど、キューバの人の生き方や考え方が好きで、僕も影響を受けてるんですね。アメリカに押さえつけられて、それでも負けないで自分たちで知恵を絞って、ないものは自分で作り出していけばいいって考え方を持っている。そういう考え方ってすごいなって。だから、僕らもメンバーが少ないとき、やれることをやろうって思えたから、今回のアルバムを発売することができたんです。

― そういったキューバなどのルーツも感じながらアルバムを聴いてみると、違った世界が見えるかもしれないですね。では、最後に読者の方にメッセージをお願いします。
Kike そうですね。一枚でいっぱい楽しめるアルバムになっていて、いろんなリズム、言葉が重なっています。このアルバムからいろんな幸せを見つけてもらえたらうれしいですね。CDを聴いて、ライブでも見て聴いて楽しんでほしいです。
Rina いろんな国のリズムが混ざっていて方言とかも多いので、言葉に親しみを持ちながら聴いていただきたいです。そして、レコ初ライブも中身内容が凝っているので、楽しみに遊びに来てください。
Shu 今回のアルバムは、音を聴きながらいろんな国々を旅できるような内容になっていて、沖縄のにおいや雰囲気も詰まっています。それに、ジャケットを見るとさらに音楽の雰囲気が広がるんじゃないかなと感じています。ライブで生演奏の迫力も楽しんでいただければなと思っているので、ぜひ、お越し下さい。
TARO 一曲ずつに “ 幸せ ” ってテーマがあって、『 i Busca la Felicidad!(=それぞれの幸せを探しに行こう)』ってアルバムタイトルになりました。どの曲を聴いても、それぞれに当てはまる幸せのカタチがあって、常に幸せってキーワードが入っています。中南米各国のリズムを取り入れているので、それぞれの楽曲を楽しんでほしい。   あと…、恐くないから、ライブに来てください(笑)。カチンバのライブって踊らないといけないの? ってイメージがあるらしく…、まぁ、実際踊らないといけないんですけど(笑)。一度踊ってみてほしいなっていうのがあります。僕たちの音楽とかダンスってカタチはないので自由に!! カチンバが好きな人ってサルサが好きってわけではなく音楽好きな人が集まっているので、気構えずぜひライブに来てほしいですね。沖縄の方は運動不足な人が多いと思うので、ライブにきてたっぷり踊ってください(笑)。チームでやるからこそ面白いんだよって音楽を届けたいです。

【 i Busca la Felicidad!/KACHIMBA DX】
ARTIST:KACHIMBA DX
CD TITLE:『 i Busca la Felicidad!』
RELEASE:11年7月20日
PRICE:2,500円(tax in)
CODE:TIDA-0004

KACHIMBA DX『 i Busca la Felicidad!』レコ発ライブ
日程:9月22日(木)
場所:LivehouseMOD’S
時間:20:00開場 21:00開演
料金:前売2,000円 当日2,500円 ※ドリンク代別
出演:KACHIMBA DX
問合:LivehouseMOD’S TEL.098-936-5708

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