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2022年6月13日

【連載コラム】沖縄音楽の楽|又吉恭平|沖縄音楽旅行Vol.43

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沖縄音楽の楽
琉球古典音楽や沖縄民謡など、沖縄音楽の「楽しみ方」を貴重な音源や、曲にまつわるエピソードで伝える連載コラム
文|又吉恭平

タイトル:『沖縄の古典音楽 御冠船踊』

1972年5月15日。沖縄は本土復帰を果たした。まさにその日、沖縄の伝統歌舞劇「組踊」が、国の重要無形文化財に指定された。今回紹介する『沖縄の古典音楽 御冠船踊』は、組踊が国の指定を受けた1972年に収録され、一般に発売されたものである。

収録曲は定番の「かぎやで風節」にはじまり、舞踊曲「高平良万歳」や、独唱曲「仲風節」など多彩である。そして、最後に収録されている組踊「二童敵討」は、なんと全編が収録されている。本録音では、悪役でありながら最も華やかな役柄の「あまわり」を当時の立方の最高峰・真境名由康が演じている。レコードのため、もちろん映像ではないのだが、真境名の唱えには迫力があり、組踊がまさに「聴くもの」であることを強く感じることができる。

その他、宮城能造(初代)、金武良章など、戦前から組踊を演じてきた立方や、地謡(音楽)には平良雄一、宮里春行、安富祖竹久、多和田スミ、大浜長栄ら名手が名を連ね、2000年に人間国宝となった島袋正雄、照喜名朝一らも参加している。

組踊を今日まで繋げてくれた先達の実演を今日聴くことができることはまさに至福であるが、それと同時に、さらに50年後に組踊をどう繋げていくかを考えると、我々実演家の果たす役割は大きく、身の引き締まる思いがする。(敬称略)

今号のレコードジャケット情報
TITLE:『沖縄の古典音楽 御冠船踊』
RELEASE:1972年
LABEL:ビクターレコード

又吉恭平 PROFILE
沖縄県立芸術大学大学院音楽芸術研究科音楽学専攻修了。国立劇場おきなわ組踊研修修了生(第3期)。琉球古典音楽野村流伝統音楽協会師範(歌三線・胡弓)。現在は琉球古典音楽の演奏家として、県内、県外で活動を行っている。

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