2021年3月26日
Interview & Text:幸田悟
伊舎堂さくら from Damian Hamada’s Creatures スペシャルインタビュー
ーー 音楽に触れたキッカケは?
伊舎堂さくら インターナショナル・スクールに通ってて、英語を勉強してました。3歳から、基地内の居住者が通う教会の聖歌隊(当時在籍約50名中、日本人はひとり)で歌い始めたんです。いま思うと、この環境がとても良かったと思います。私は、沖縄市出身で夏には毎年ロックフェス、「ピースフルラブロックフェスティバル」が開催されてます。そのフェスを5歳で見て必ずこのステージに立つと決意しました。そのときのオオトリで出てたバンドがオキナワンロック・レジェンドの「紫」。ドラムを叩きながらディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」を歌ってるドラマーのチビ(宮永英一)さんに釘付けになりました。それがキッカケで歌ってドラムが叩けるミュージシャンを目指すようになったんです。それで6歳からドラムを習い始めました。
ーー 10歳で聖飢魔Ⅱの信者に!
伊舎堂 CD店で聖飢魔Ⅱのミサ(ライブ)の映像を見て衝撃を受け、気がつけば信者に。いま悪魔の僕(しもべ)ができているということを、このときの私に教えてあげたいですね(笑)。そして13歳で「第30回ピースフルラブロックフェスティバル」に史上最年少出場を果たしました。5歳から毎年観に行っていた憧れのロック・フェス、幸せでした。
ーー 14歳のころ「X FACTOR OKINAWA JAPAN」に出場し、ファイナリストに。さらに、テレビ東京「THE カラオケ★バトル」や日本テレビ全日本歌唱力選手権「歌唱王 2015」など、歌うま系にもチャレンジしていきますよね
伊舎堂 「X FACTOR」では、ディープ・パープル、エーシー・ディーシー、ジャーニーなどの曲を歌い、審査員に「プリンセス・オブ・ロック」と評価していただき嬉しかったです。この場でクラシック・ロックに徹してパフォーマンスしたことが、結果的に今回のプロジェクトにも繋がっているのでほんとに良かったと思います。歌うま系の番組に出演してた時期、とても悩んでいたんです。ありがたいことに、私は幼少の頃からいろんなステージやメディアに出演する機会をいただいてました。ローティーンのころまでは、迷うこと無く順調に歩んで来れました。でも、20歳が近づけば近づく程、もどかしさと将来に対する不安や焦りのような感情が芽生えたんです。ロックを歌い続けるべきかどうかも迷いました。歌を職業にしていく為にはポップスを歌ったほうがいいのかな?とも考えました。それでチャンスを掴むために「歌うま」系のテレビ番組にもチャレンジすることにしたんです。でも結局、そこでもディープ・パープルの「バーン」を歌いましたけど(笑)。出演後、反響は大きかったのですが、私が思い描くようなチャンスとはほど遠い、そんな状態が続いていたんです。
ーー 音楽シーンを駆け抜けた10代、そして生まれた将来に対する不安……。その状況が一変するできごとが!!
伊舎堂 「X FACTOR OKINAWA JAPAN」スタッフをしてた人を通じてソニー・ミュージックの人から連絡があり、ダミアン浜田陛下プロデュースのバンド「Damian Hamada’s Creatures」(以下「D.H.C.」)のボーカルを依頼されたんです! まさに晴天の霹靂、黒い天使が舞い降りた瞬間でした(笑)。幼い頃から聖飢魔Ⅱの信者で、その聖飢魔Ⅱの創始者のダミアン浜田陛下のバンドのボーカル……。依頼のメールを大学の授業中に受信したんですが、思わずその場で号泣しました。
ーー プロジェクトが動き始めます
伊舎堂 初めてダミアン浜田陛下にお会いするのと、初めての本格的なレコーディングということで、これまで体験したこと無いくらい緊張しました。さらに、2週間で11曲の収録というタイトなスケジュール、プレッシャーに押しつぶされそうでした。最初に収録した楽曲は、ミュージック・ビデオにもなった「Babel」なんですが、もうダメ出しの嵐。この曲だけでも軽く100回以上歌いました。試練のレコーディングでしたが、これまでやってきたことが報われた気がします。私自身、これでもかというくらい歌詞を咀嚼して研究してアプローチしたんですが、それに対しても容赦ないダメ出しの連続……。でもそれが陛下の愛なんです。「どんなにキツくても、辛くても、与えられたハードルをひとつひとつ乗り越え、やるしかない!」そう覚悟を決めた時、やっと「D.H.C.」の一員になれた気がしました。
ーー ダミアン浜田陛下から頂いた印象に残っている言葉は?
伊舎堂 レコーディング後「今後完成するであろう私の曲は、伊舎堂さくらにずっと歌ってもらいたいと思ってます」とメールをいただきました。もう号泣です(話しながらほんとに号泣)。
ーー 満を持して『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』を2020年11月25日にリリース。アルバム収録曲全曲解説をお願いします
M.1 聖詠
伊舎堂 ダミアン浜田陛下からの、信者への教訓およびエールです。ティーザー(PR動画)冒頭の「クリーチャーズ誕生」シーンでも使用されていて、ここから始まる聖典に期待感が高まります。最初にティーザーを見たとき、デーモン閣下のあの笑い声に感極まりました! ライブでSEとして使用されることを想像しながらこの曲を聴いていると、ライブで歌いたくて、いてもたってもいられません!!
M.2 Babel
伊舎堂 「天使と人間の恋」、さくら“シエル”伊舎堂の始まりの曲です。レコーディング初日から10時間かけ、その後2週間のレコーディング期間中に何度もテイクを重ねました。結局、レコーディング最終日のテイクが採用に。大聖典を歌わせていただいた曲のなかで、とても苦労した分、最も達成感が感じられる曲。私にとって宝物です。
M.3 Heaven to Hell
伊舎堂 「連れ去られた先は光か闇か」。天使は堕天使となり「愛」、「絆」に翻弄されていく。その苦悩を厳かなメロディーにのせて歌いました。サビ終わりのボーカル部分、ラフミックスを録ったとき、少しさくらっぽさを出しすぎかなと思ってましたが、陛下は、「逆にさくらちゃんっぽさがいい!」と言ってくださり、このテイクが採用になりました。とても嬉しかったです。
M.4 Running like a Tiger
伊舎堂 「天使の血 流し続けている」。自らの血を流しながら命がけで前進する堕天使。聖飢魔IIの創始者であるダミアン浜田陛下の「ダミアン浜田節」を全身で体感しながら歌っています。イントロのギターのチョーキングがとてもカッコいい!!
M.5 三枚の照魔鏡
伊舎堂 「過去、現在、未来を写す鏡」。写し出された真実、天使の苦悩。世界が脅かされている様々な災害や苦難に向き合う人類を歌っているようにも感じます。倍テンポのボレロ、行進曲のような力強いサウンドにあわせて、勇敢な戦士をイメージして歌いました。
M.6 Lady into Devil
伊舎堂 「女は悪魔に生まれ変わる」。日本語と英語が混在する曲は発声を大切にするか、発音を大切にするかまず悩みますが、この聖典では英語の発音を大切にしました。注目はサビ部分。ダミアン浜田陛下独特の譜割に歌詞をあてはめることに苦労しました。何度も研究して挑んだ分、うまくグルーヴも出せていると思います。
M.7 Sacrifice of Love~主よ、人の欲望の悲しみよ」
伊舎堂 「堕天使は光なき夜明けを待つ」。光は見えずとも前へ進む、その強さを表現しました。教会で歌われるオルガン伴奏のような美しいメロディー、重厚なサウンドと深みのある歌詞。これぞダミアン浜田陛下の美メタルの真骨頂! 第I章のエピローグを飾る最後のシャウトは何パターンも挑戦しました!
ーー 続いて12月23日にリリースした『旧約魔界聖書 第Ⅱ章』の収録曲解説を
M.1 Angel of Darkness
伊舎堂 罪人たちが闇に導かれる様をドラマティックに描いた曲。ボーカルとしては、堂々と歌うことを心がけました。聖飢魔IIのデーモン閣下を想像しながら、自分なりの「堂々」を表現しました。サビ部分は歌詞の重みをどうやって伝えるか考え、「アメリカ英語」と「イギリス英語」どちらのアクセントで歌うかで悩みました。結果的には「イギリス英語」で歌ってます。
M.2 Deepest Red
伊舎堂 ダミアン浜田陛下の歌詞は、小説のように美しい表現で、ストーリー性があるところが、魅力のひとつだと思います。「ワインのしぶき似た香り」、「澄んだチェロの音色」など、フランス文学のような比喩表現もとても素敵。セピア色の中に際立つ「紅」が悪魔の世界感を際立ててます。「天使が最期にあげた叫び声は リングになり耳元で揺れている」という歌詞では、天使の叫び声が幾重にも渦巻き、イヤリングとなる絵がうかびました。ダミアン浜田陛下の僕である私も、この曲の主人公のように忠誠を誓いたいと歌いながら気持ちが深くなっていきました。
M.3 新月のメヌエット
伊舎堂 「鎮魂歌」。軽やかな三拍子で、心に闇を抱えた天使がルシファー(明けの明星を指すラテン語であり、光をもたらす者という意味をもつ悪魔 堕天使)に恋する様を歌いました。徐々に強くなる思いをギターの疾走感で盛り上げています。この歌に関しては、サビのフレーズにとても苦労しました。「帰らない翼 返らない時 孵らない想いよ」という三つの「かえる」の表現を工夫しました。歌詞の世界に吸い込まれていくような感覚で歌ってます。
M.4 女神と死神
伊舎堂 「神が冒す罪は何より気高い 罪を背負った愛は何より儚く心を刻む」。天使、堕天使、悪魔、女神……。ダミアン浜田陛下の創造物(楽曲)に登場する者達には、それぞれ心があります。これが「聴くヘヴィメタル」ではなく「陶酔するヘヴィメタル」の理由のような気がします。曲冒頭のクワイヤ(合唱)部分をメンバーの宏美”ローズ”稲益と一緒に何声も重ねて録りました。陰と陽、惹かれ合う対の神、全てはバランス。自分とは真逆の存在に惹かれてしまうのでしょうね。
M.5 魔皇女降臨~Birth of Death, Death of Birth
伊舎堂 「Damiatine Damiatine. Holy and evil Damiatine. Descent of Damiatine.Damiatine will wreak Birth of death.Death of birth.(魔皇女ダミアティーヌ 神聖で邪悪なるダミアティーヌ 魔皇女ダミアティーヌが降臨する ダミアティーヌは完全なる死をもたらし 新たな生命が誕生することはもうないだろう)」 by ダミアン浜田陛下。インストゥルメンタルであり、インステゥルメンタルではない、催眠術のような摩訶不思議な曲です。
M.6 Which Do You Like?
伊舎堂 「選ばれし音楽(もの)は 神に愛され 悪魔にも愛される」。第Ⅰ章、第Ⅱ章を通してたどり着いた真理。そして輪廻する。サウンドはまさに陶酔するヘヴィメタル! ヘッドバンギングはここ一択DEATH!! シャウトで始まりシャウトで終わる。ギターソロの突き抜け感も最高! ライブで1番歌いたい曲です。
ーー 2021年の抱負を
伊舎堂 2020年はライブが出来なかったので、「D.H.C.」としてライブを行いたいです。生でしか感じることができないことがあるので、それを実現したい。バンド・サウンドがとにかく最高です!!
ーー 成功へのロードマップ、どのように考えてますか?
伊舎堂 歌い続けることが人生最大の目標です。振り返ってみると、自分の好きなことや、ものに正直に生きてきたからこそ、貫いてきたからこそ、今回のチャンスにも恵まれました。だから、私の目標にゴールはなくて、歌い続けることなんです。歌い続けたい歌、ランキング1位は、もちろん「Babel」です!
ーー 最後に読者へメッセージを
伊舎堂 沖縄の人たちには、幼いころからとても長い間応援していただき、心から感謝してます。いつか恩返ししたいと思い続けてました。「D.H.C.」でようやく念願のメジャー・デビューを果たすことができました。わたしなりのかたちで、もっともっと、みなさんに恩返しできるように頑張ります。「Damian Hamada’s Creatures」とともに伊舎堂さくらの応援、これからも、よろしくお願いします。
【伊舎堂さくら PROFILE】
1999年生まれ。3歳より沖縄米軍基地内の居住者で構成されている教会のChoir(クワイア)で歌い始める(当時在籍約50名中、日本人は彼女ひとり)。小学生で60年~80年代のクラシックロックに目覚めドラムを始める。Rockの街・コザ(沖縄市)のライブハウスにて大人に混ざり歌いドラムを叩く姿が沖縄県内外で話題となる。小学校5年生の時にCD店で聖飢魔Ⅱのミサ(Live)映像を見て衝撃を受け、同年、憧れのデーモン閣下が出演するCLASSIC ROCK JAM(70’s 80’s洋楽ロックカヴァーイベント)に訪れClassic Rockにより一層のめり込むこととなる。14歳の時に人気オーディション番組X FACTOR OKINAWA JAPANでDeep Purple、AC/DC、JOURNEY等を歌い、度肝を抜いた迫力のパフォーマンスが審査員に『Princess of Rock』と絶賛され”Finalist”となる。沖縄を拠点にライブハウスや米軍キャンプにて精力的に活動をしていたところを、聖飢魔II創始者のダミアン浜田陛下によって才能を認められ、最強のヴォーカリストにするべく改臓人間にされ、魔暦22年(2020)ソニー・ミュージックレーベルズよりDamian Hamada’s Creaturesのヴォーカルとしてメジャーデビューを果たし、多くのメディアやプロミュージシャンからも注目を集める話題のヴォーカリスト。
詳細:伊舎堂さくら Website
伊舍堂さくら 沖縄LOVEwebTV 今日の訪問者 218
聖飢魔II創始者のダミアン浜田陛下率いるDamian Hamada’s Creaturesのヴォーカルとしてメジャーデビューを果たした伊舍堂さくらさんが来社。2020年11月25日にリリースした『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』、12月23日にリリースの『旧約魔界聖書 第Ⅱ章』2作品について話を聴きました。楽しいインタビュー動画、是非ご覧ください。
・伊舎堂さくら from Damian Hamada’s Creatures スペシャルインタビュー完全版
沖縄タイムス電子版連載「幸田悟の沖縄音楽旅行+プラス
※伊舎堂さくら from Damian Hamada’s Creatures スペシャルインタビュー完全版は、沖縄タイムス電子版『沖縄タイムスプラス』内連載コーナー『幸田悟の沖縄音楽旅行+プラス』に掲載してます。2021年2月9日(火)更新
【Damian Hamada’s Creatures/旧約魔界聖書 第Ⅰ章】
ARTIST:Damian Hamada’s Creatures
CD TITLE:『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』
RELEASE:2020年11月25日
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
PRICE:3,200円(without tax)
CODE:BVCL-1104〜5
【通常盤】(CD)
PRICE:2,500円(without tax)
CODE:BVCL-1106
詳細:Damian Hamada’s Creatures Website
配信:Damian Hamada’s Creatures『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』
※掲載JKは通常盤
【『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』収録曲】
1. 聖詠 2. Babel 3. Heaven to Hell 4. Running like a Tiger
5. 三枚の照魔鏡 6. Lady into Devil 7. Sacrifice of Love~主よ、人の欲望の悲しみよ
8. Babel(カラオケ)9. Heaven to Hell(カラオケ)10. Running like a Tiger(カラオケ)
11. 三枚の照魔鏡(カラオケ)12. Lady into Devil(カラオケ)
13. Sacrifice of Love~主よ、人の欲望の悲しみよ(カラオケ)
Damian Hamada’s Creatures 「 Babel」Music Video
【Damian Hamada’s Creatures/旧約魔界聖書 第Ⅱ章】
ARTIST:Damian Hamada’s Creatures
CD TITLE:『旧約魔界聖書 第Ⅱ章』
RELEASE:2020年12月23日
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
PRICE:3,200円(without tax)
CODE:BVCL-1107〜8
【通常盤】(CD)
PRICE:2,500円(without tax)
CODE:BVCL-1109
詳細:Damian Hamada’s Creatures Website
※掲載JKは初回生産限定盤
【『旧約魔界聖書 第Ⅱ章』収録曲】
1. Angel of Darkness 2. Deepest Red 3. 新月のメヌエット
4. 女神と死神 5. 魔皇女降臨~Birth of Death, Death of Birth
6. Which Do You Like?
7. Angel of Darkness(カラオケ)8. Deepest Red(カラオケ)
9. 新月のメヌエット(カラオケ)10. 女神と死神(カラオケ)11. Which Do You Like?(カラオケ)
Damian Hamada’s Creatures 「Angel of Darkness」Music Video
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