2020年9月21日
組踊の魅力 34
琉球古典音楽野村流保存会師範 新垣俊道が、伝統組踊の鑑賞の見方、楽しみ方を伝授する連載コラム
文|新垣俊道
タイトル:たかが芸能、されど芸能
昨今の新型コロナウィルス感染症拡大でこれまでの生活様式が一変している中、舞台芸術もその影響を大きく受けている。公演も中止が相次ぎ演者も観客も伝統芸能に触れる機会が減少している。しかし、このような状況下でも実演家は自らの芸を発信していかなければならない。いつ終息するか分からないだけに落ち着くまでじっと待っていては、観客から忘れられてしまう。とは言え、公演開催もままならない状況ではそれも困難だ。そこで手っ取り早いのが動画配信だ。最近はジャンルを問わず動画配信は増えている。
先日、三線組合の動画配信に参加したが機材や技術的な様々な課題、また奏者同士の距離とこれまでにはない制約がかかり戸惑いも生じた。しかし、何よりも演奏できること、そして仲間と共演できることの喜びや有難さを実感した。
日々変化する時代の中でも伝統芸能にはいつまでも変わることのない様式美があり、またそれ以上に各演目に込められた主題には基本的感情を加え、沖縄の自然や風俗などウチナーンチュとしてのアイデンティティが凝縮されている。たかが芸能、されど芸能。まさにウチナーンチュにとっては大きな心の拠り所だ。このような時代だからこそ伝統芸能の存在価値とその意義を改めて考えさせられている。
新垣俊道 PROFILE
国立劇場おきなわ企画公演のほか国外、県内外の公演に多数出演。2008年国立劇場おきなわ組踊研修を修了。同年発売されたCD『琉球舞踊曲集・野村流』に収録参加。2016年にはCD『新垣俊道独唱集 覚る時分1〜3』をリリース。
▶︎組踊公演情報は国立劇場おきなわ ホームページから
組踊公演「花売の縁」が2020年9月26日(土)、国立劇場おきなわ 大劇場にて開催。第一部では、古典舞踊と雑踊を織り交ぜ、琉球舞踊をご堪能下さい。第二部では、親子の絆、夫婦の情愛を描いた世話物の代表作として人気のある組踊「花売の縁」(作 髙宮城親雲上)を上演。猿引の猿回しの芸や薪木取の老人の語り口、親子再会の場面など、見どころ、聞きどころが盛りだくさんの作品を、どうぞお楽しみ下さい。
組踊公演 「花売の縁」
日程:2020年9月26日(土)
時間:開演 14:00
料金:3,200円 ※発売開始日 8月1日(土)
会場:国立劇場おきなわ 大劇場(字幕表示がございます)
住所:〒901-2122 沖縄県浦添市勢理客4−14−1
問合:国立劇場おきなわチケットカウンター
詳細:国立劇場おきなわ Official Website
※演目・出演者、日程等は変更となる場合がございます。
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