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2019年5月27日

FUNKIST 染谷西郷 INTERVIEW|沖縄音楽旅行 Vol.31

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唯一無二のファンキスト・サウンドはいかにして生まれたのか

2019年に結成20年目を迎えたファンキストは、日本国内はもちろん、南アフリカ、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど海外も含む年間100本を超えるライブで世界所狭しと駆け回る生粋のライブ・バンドだ。沖縄にも毎年複数回ツアーで訪れるなど根強いファンを獲得している。そんな彼らの20年目の幕開けに、珠玉の応援歌3曲を収録したニュー・シングル「THE WIND AND THE SUN」をリリースした。全てのリスナーを受け止める奥行きの深いリリック、アフリカンビートを軸に展開する唯一無二のファンキスト・サウンドはいかにして生まれるのか。彼らのルーツから曲作りまでを掘り下げた、染谷西郷へのスペシャル・インタビュー。
Interview & Text:幸田悟

ーー染谷西郷のルーツを教えてください
染谷西郷  母は、南アフリカ人のバレエ・ダンサー、父は、日本人のフラメンコ・ギタリストです。母は南アフリカの国立バレエ団のダンサーでした。でも彼女は、アパルトヘイト政策(南アフリカ共和国で 1991年6月まで続いた白人と有色人種とを差別する人種隔離制度・政策。「分離」を意味するアフリカーンス語)など、国のやり方に対して納得いってない部分があったんです。そこで彼女は、より自由なダンス表現を求めて南アフリカを飛び出し、モザンビークにある、フラメンコ・ダンサーを探してたカンパニーに所属しました。一方、父はスペインでプロのフラメンコ・ギタリストとして生計をたててました。あるとき、仕事でモザンビークへ行くことに。そこでふたりは出会います。フラメンコにクラシック・バレエの要素を取り入れたショーを作り上げ、3か月間の公演を成し遂げ、ふたりは恋におちました。しかし、モザンビークでは黒人解放運動が激化し、母は南アフリカへ戻ることに。一旦、ふたりは離ればなれになるのだけど父が単身、南アフリカへ。そこで、祖父母がふたりをかくまってくれたんです。夜になるとこっそりパブに出かけて流しでギターを弾いて日銭を稼ぐ、そんな暮らしをしていたそうです。しかし半年後、父が南アフリカから強制退去させられることに。それで、父と母は、手に手をとってともに渡英し入籍をしたんです。南アフリカを発つ日に、祖父はふたりにこう伝えたそうです。「南アフリカに戻ってくる時には、ふたり手を繋いで戻ってきなさい」と。

ーーまさにジャンルの壁を超えたファンキストの音楽は、染谷西郷のルーツから生まれたと言っても過言ではないですね
染谷  考えてみればそうですね。クラシック・バレエ・ダンサーだった母が、もともとクラシック・ギタリストだった父のフラメンコ・ギターに合わせてダンスを踊る。すでにモザンビークで、僕より先にファンキストの音楽の原点が生まれていたのかも(笑)。サウンドに関して言えば、自分の根っこにあるのは土着のビートです。幼い頃、父との遊びはキャッチボールなどではなく、リズム遊びだったんです。フラメンコの手拍子に合わせて、裏で入るみたいな(笑)。フラメンコも土着のビート。ブラックミュージック、ファンクビートがとてもフィットするんですよね。ファンキストのギタリストの宮田もバークリー音楽大学でファンク・ミュージックを専攻してたし、俺たちのサウンドの根底には、土着のビートが流れてます。そのビートに、ロックやポップスなどさまざまな要素をミックスしてファンキストのサウンドを構成してます。

ーーファンキストの歌詞についても、自身のルーツと経験に拠るところが大きい
染谷  ものごころついたときから、「日本人でありたい」と強く思ってました。みんなと混ざりたい、交わりたいという欲求が常にありましたが、それが満たされることはありませんでした。バンドで初めてステージに立った時に、俺が何人だとか、何語だとか一切関係なく、目の前で手拍子して一緒に歌ってくれました。そのときに「あっ! あった!! 生きてていい場所がここにあった!!」って思ったんです。たったひとつの音楽でみんなが繋がれる。そのことが今のメッセージやサウンドにも色濃く反映されてます。最初は、自分の居場所のための音楽でしたが、そこに希望を見いだし活動を続けていくなかで、学校や会社に居づらい、そんな人たちの拠り所にもなるんだということに気づきました。「音楽ってやべえ。音楽で世界を変えられるのかもな」って思えたんです。

ーー南アフリカの祖父の存在も染谷さんにとっては、大きかったようですね
染谷  普段は冗談ばっかりいってた祖父なんですが、キメる時にはキメるというか(笑)……。20歳くらいの時、宮田と南アフリカを訪問した時のこと。その帰り際に「もうホリデーで南アフリカに戻ってくるな」っていうんです。「なんでそんな寂しいことを言うの?」って聞いたら、「今度帰ってくる時には、バンドのツアーで帰って来い」って。それは、僕の目標のひとつともなり、6年後の2006年にファンキストのツアーで実際に、南アフリカに行くことができました。祖父は、病床からコンサート会場に駆けつけてくれました。他界してしまったのだけど、そのとき観てもらうことができて本当に良かった。きっと今も見守ってくれると思います。

ーーファンキストは、来年結成20周年を迎えます。活動を続けていく中で幾度となくメンバーチェンジがありました
染谷  そこで気づいたことがふたつあります。ひとつめは、宮田の存在。メンバーの脱退は精神的に堪えます。正直、もう無理かもって何度も思いました。でも、いつも宮田は「次、どうする?」って聞いてくるんです。先日、ポツリと宮田が言ったんです。「俺は、お前と音楽をやることになったときに、お前とずっと続けていくことに決めたんだよね」って。そのときに気づきました、20年間続いた理由は、彼のおかげなんだって。実は、ファンキストの根っこは、宮田なんです。もうひとつは、「人を変えることはできない、ファンキストを良くしたいんだったら俺が変わればいい」ってこと。俺がもっと音楽好きで楽しんでやってれば、メンバーも自然とそうなるんです。「みんなで歩幅を合わして歩いて行こうよ」ではなく、自分自身がもっと良くなること、それにつきます。脱退したメンバーが各々プロとして活躍し、また一緒にファンキストでやれるようにもなりました。「俺がもっとファンキストを良くできる」っていうメンバーがサポートやゲストとして戻ってきて一緒に演奏する。ファンキストは、メンバーにとって戻ってこれる場所。これからもどんどん良くしていきます。

ーー南アフリカの子供達へ楽器を届ける活動を続けてます。ファンキストを象徴するような活動です
染谷  南アフリカは、僕のもうひとつのふるさと。「俺の街で子どもが泣いているから助けたい」というシンプルな動機です。2010年から2年おきに行ってます。とあるスラム街があって、そこは9割がギャング。よくよく話を聞くと本来はギャングなんかやりたくないけど、生きていくためには仕方がないと。そこで、思ったんです。僕はミュージシャンだし、楽器が演奏できれば仕事になるんじゃないかと。それで楽器を送ることにしました。2012年に行ったときには、東日本大震災の後で南アフリカの孤児院の子どもたちが、心配して手紙を書いてくれたんです。その手紙を持って東北の子どもたちにも楽器を届けに行きました。それがキッカケで東北の子どもたちと南アフリカの子どもたちとの交流が始まったり。それは、僕も予想してなかった出来事だけど、嬉しいですよね。ライブのチケット代から200円分を世界の子供達の支援活動へ宛ててます。みなさん、ご協力よろしくお願いします。

ーー20年間の出来事で心に残っていることは?
染谷  ポジティブなできごとではないけど、メンバーの春日井陽子さんが旅立った(2011年に他界)ことは、大きかった。いまだにCDのクレジットには、必ず陽子ちゃんの名前を入れてます。「陽子ちゃんがいたFUNKISTを守りたい」って気持ちでやってた時期があって、しんどかった。そりゃそうですよね、変化しないことを守るって……。いつも新しいものを求め、攻めるのがファンキスト。それを陽子ちゃんも望んでいるはずだと切り替えられてからは、推進力があきらかにパワーアップしました。

ーーファンキストにとっての沖縄とは?
染谷  沖縄は、こころの故郷のように思ってます。沖縄にはいろいろ教えてもらってます。苦しいところから道を切り開いて乗り越えたからこそ笑顔になれるし、音楽でこうして笑いあえるんだよって。そのおかげであきらめないでいれたことってたくさんある。俺らが観てきたものを届ける場所ではなくて、ここからまた学んで、それを世界に届けにいく。沖縄は俺らにとってそんな場所なんです。

ーーファンキスト結成20年目の幕開けに「THE WIND AND THE SUN」をリリース
染谷  コンセプトありきで収録したわけではないけど、結果的に背中を押せるようなそんなシングルになりました。俺たちが20年間歩んできて感じたことをすごく曲にできているなと思います。

ーー収録曲の解説をお願いします
M.1 「THE WIND AND THE SUN」
女子プロレス団体「SEAdLINNNG」の公式応援ソング。音楽を始めたときに「音楽があったら空飛べるんじゃないか、星に手が届くんじゃないか」って思ってた。20年経った今でも変わってないんだよね(笑)。好きなものを信じていられるっていいですよね。その気持ちを歌に込めました。今だから放てる曲です。

M.2 「 LIFE TREASURE」
2019年ニュージーランド250kmマラソンに挑戦するチームA.H.Oへの応援歌。「夢を見ようよ」って言ってた人が夢を取り上げる。それは、夢を叶えられなかったからなのかもしれない。「だったら俺は夢を叶える」って立場で曲を書きました。このマラソンに参加している人たちはみんな、挑戦し続けてるんです。自分のために追いかけてる夢が、走っているうちにいろんな人の顔が浮かんできて、気がつくと誰かのために人生を歩んでいる。夢を追うことってそういうことなんだって思います。

M.3 「Brand New Days」
幾度となく繰り返されてきたメンバーチェンジ。一緒に歩んできたメンバーが、新しい夢が見つかって去っていく。僕はそれを引き止めたことは一度もない。だって、歌で「何が何でもやり遂げろ、曲げんな、やりたいようにやれよ」とか散々いってるし。引き止めるとステージで嘘をつくことになる。だから去り際は「よかったじゃん! 応援してるわ! 行ってこいよ!!」って常に言ってきた。20年目にしてはじめて、少し寂しかったという気持ちも少し歌詞にしてみました。新しい明日に必ず希望がある、そんな光が差す楽曲になりました。

ーー読者にメッセージをお願いします
染谷  いつも隣には宮田がいて、弱ったときにはまわりの仲間や先輩が手を差し伸べてくれる。そしてチケット握りしめてファンキストのことを信じてライブに来てくれる全国のファンがいる。だから20年間歩いてこれた。これからもライブを見に来てくれるファンを驚かせたいし、感動してもらいたいと思ってる。期待を超えるファンキストであり続けます。新しく開く扉の向こうの景色も期待しててください! 俺自身もワクワクしてます!!

【FUNKIST Profile】
染谷(Vo)と宮田(G)によりバンドの原型が2000年に結成。2001年から本格的な活動を開始。ボーカル染谷西郷の故郷南アフリカ仕込みのビートフルな音楽に、染み入るリリックとメロディーが混ざり合って生まれるファンキスト・ミュージックは、ジャンルの壁を超えたオリジナル・ファンキスト・スタイル。日常の些細な物語から世界中の様々な問題までを、あくまで等身大の自分達で叫び続ける暖かなその音楽は、笑顔あり涙あり、聴く人の心をつかんで離さない。そんな彼らのライブは人と人とを繋げ、老若男女問わず、あらゆる国境さえも超えられる程の熱い想い、地球規模の大切なメッセージを伝えている。
▶︎FUNKISTE Website

FUNKIST INFORMATION

FUNKISTが結成20年目の幕開けに
ニュー・シングル「THE WIND AND THE SUN」リリース!!

FUNKISTが結成20年目の幕開けに、ニュー・シングル「THE WIND AND THE SUN」を2019年3月17日にリリースした。リード曲の「THE WIND AND THE SUN」は女子プロレス団体「SEAdLINNNG」の公式応援ソング。2曲目 「Life Treasure」は2019年ニュージーランド250kmマラソンに挑戦するチームA.H.Oの応援歌。3曲目は、春の旅立ちを歌った「Brand New Days」。「コンセプトありきで収録したわけではないけど、結果的に背中を押せるようなそんなシングルになりました。俺たちが20年間歩んできて感じたことをすごく曲にできているなと思います」とボーカルの染谷西郷。珠玉の応援歌3曲収録の「THE WIND AND THE SUN」、必聴です。


FUNKIST「THE WIND AND THE SUN」MV
【FUNKIST/THE WIND AND THE SUN】
ARTIST:FUNKIST
CD TITLE:「THE WIND AND THE SUN」
RELEASE:2019年3月17日
PRICE:1,000円(tax in)
CODE:EMMC-22
詳細:FUNKIST Website

ランチキナイト32 – Last Generation – in 沖縄
日程:2019年6月22日(土)
会場:沖縄・宜野湾ヒューマンステージ
住所:宜野湾市長田1-11-1 1F
出演:FUNKIST、ちむぐくる、ナミオカコウタロウ、祐日
時間:開場 18:30 開演 19:00
料金:前売 3,000円 当日 3500円(別途ドリンク代)
予約:https://ws.formzu.net/sfgen/S91990070/
問合:098-893-3060(宜野湾ヒューマンステージ)
主催:OFFICE JACKEROO’S
詳細:FUNKIST Website

PRAYER’S WALK TOUR in 沖縄
日程:2019年6月23日(日)
会場:沖縄市 CROSSOVER CAFE’ 614
住所:沖縄市中央1-17-15 2F
出演:FUNKIST、ナミオカコウタロウ、祐日、伊藤潤一(書家)、
映画:「ゆしぐとぅ」上映(約25分)
時間:開場 17:30 開演 18:00
料金:前売 3,000円 当日 3500円(別途ドリンク代)【定員】40名
予約:https://ws.formzu.net/sfgen/S16848983/
問合:080-3983-5026(アラカキ)
主催:OFFICE JACKEROO’S
詳細:FUNKIST Website

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