2018年6月9日
よみがえる彼の国の思い出、憧憬へと心を解き放つアルバム
Conguero Tres Hoofers『Musical Traveler』リリースインタビュー
Interview & Text:幸田悟
Conguero Tres Hoofers(以下CTH)は、渥美幸裕 (G)、 西岡ヒデロー (Per.)、SARO (Tap)の3人のグループ。CTHが生み出すサウンドとパフォーマンスは唯一無二! 言語を用いないノンバーバルなインストゥルメンタルなだけに、イマジネーションが広がり、その楽しみ方も自由度が高い。2014年に長期ヨーロッパツアー、そして2015年にはロシアツアーを敢行し、世界の聴衆を魅了した。そんな彼らが、約3年ぶりとなるアルバム『 Musical Traveler』をリリース。国境も時空も越えた音楽旅行へと誘う、『Musical Traveler』リリース・インタビュー、お楽しみください。
ーー3年ぶりのニューアルバム『Musical Traveler』、まさに世界を音楽旅行するCTHならではの作品ですね
渥美幸裕 2014年に行った54日間に渡るヨーロッパツアーでは、現地で感じ取ったインスピレーションを曲に落とし込み、ライブで披露するということを課題としてました。そこで生まれた楽曲や、その後のロシアツアーを経て誕生した曲を核に収録していきました。レコーディングが進行していくなかで最終的に『Musical Traveler』というタイトルに決定しました。
西岡ヒデロー いろんな景色も見たし、交流もあった。それがひとつひとつの音、曲になってます。
SARO 国内外のツアー全てがこのアルバムに集約されてます。
ーーそれぞれの曲に旅の思い出が詰まっているんですね。それでは、『Musical Traveler』の収録曲についてお話を伺います
M.1 Musical Traveler
ーーコンガとタップのリズム、そしてメロディアスなギター。世界の時差を埋めてくれる、音楽の旅のプロローグ的な楽曲ですね
渥美 これは、ツアーの移動行程にフォーカスし制作したロードソング。目的地へ向かう、ワクワク感、旅立つ寂しさを盛り込みました。
ヒデロー シンプルにシュパッと。明るく楽しい感じで(笑)。
SARO 車の旅のBGM、車窓感をイメージ。車での移動は、想定外のことも起こるけど、そういう出来事も含めてツアーです。聴いてくれてる人も音楽の中で旅をしてもらえると嬉しい。
M.2 Far East
ーーこの楽曲は、東京という大都市のいろんな側面を感じさせてくれる楽曲ですね。アーバン感もあればお江戸感もある!
渥美 僕がやっている「邦楽2.0(※1)」の最新系。日本の音楽は、テンポにも揺らぎがあります。「流し」という技法を用いその揺らぎを盛り込み、東京を表現しました。古いものと新しいもの、動と静が共存するハイブリッドな街、それがボクが考える東京です。
ヒデロー 僕は佐賀出身。地方から出て来た人が感じる東京感を表現。トランペットのフレーズはどことなく感じる郷愁感、寂しさを表してます。
SALO 疲れた人、アッパーな人……。東京にはいろんな人がいる。楽しいことも哀しいことも振り切れてるし。そんなそれぞれの東京感を表現した。
M.3 Around the Ark
ーーこの曲を聴いていると威風堂々というキーワードが浮かんできました
渥美 フランスをテーマに制作した曲です。パリ、リオン、ニースなどいろいろ行ってるんだけど、やっぱりパリが思い出に残ってる。凱旋門の周りは、移動する時に必ず通る場所だったし。フランスの人は意外にラテン系なんです。気持ちの動きに対して正直で気性が激しい。そのラテン感とシャンソンが持っている哀愁感が同居している曲です。
ヒデロー パリのもつクラシカルな面やラテン気質なタフな所を表現してみた。あと、ボレロの部分では凱旋門のスケール感を感じてもらえれば嬉しい。
SARO 実際にボレロは、ベルサイユ宮殿で行われた公演を観に行きました。宮殿や凱旋門、その規模感はやっぱり凄いね。パリでのライブも雰囲気がすごく良かった。先にリリースしたDVD『Conguero Tres Hoofers meets Europe 2014 “CTH”』にこのツアーの模様は収録されてるので、ぜひチェックしてください!!
M.4 B.O.W
ーーコントラストが効いた楽曲ですね
渥美 オランダをイメージした曲でタイトルの「B.O.W」はブルー、オレンジ、ホワイトの頭文字。オランダの音楽は、僕的にロッテルダム・テクノ。BPM(テンポ)が速く、メッチャはじけてる感じ。ダブ的な要素をギターで表現してます。
ヒデロー オランダはデザインが秀逸なんだよね。「ミッフィー」を生んだディック・ブルーナのそのもの。空、建物、街並みがブルー、オレンジ、ホワイト! その印象をそのまま音楽に。
SARO 車での移動中、運河のほとりで佇んで煙草吸ってたかと思えば、突然セッションがはじまったりする。そんなアップダウンの激しいダブ感など、オランダのツアーの行程をタップに盛り込みました。
M.5 Platz / Puls
ーーグレーとカラー、自然と人口構造物、冷と温。この曲には、対照的な世界観を感じます
渥美 これは、ベルリンで作った曲。電子音楽が盛んな場所なので、テクノが持っている良さを3人でやってみた。一番無機質な曲になってて、メカニカルな面白さがある。
SARO この曲では、機械的に同じ事しかやらないという新しい試みを。ミニマル・テクノが好きで、無機的なことを何処までやれるかというチャレンジ。無機的なフィーリングは、今でも模索中。
ヒデロー 音楽的には、無機的なジャーマン・テクノなイメージだけど、人的には温かかった。ヨーロッパ・ツアーではじめて音を出したのがベルリンのアレクサンダー・プラッツ駅。パフォーマンスしてたらワーって盛り上がったり。ベルリンでは、そういう人との交流も印象に残ってる。
M.6 纏う〜Matou (Wear it)〜
ーー美しい和のメロディー、三味線のような奏法、そして間とリズムがとても印象的な曲です
渥美 僕のソロプロジェクト「邦楽2.0」で作った楽曲のCTHバージョン。三味線のもっている日本感をギターで引き継ぐというイメージでアプローチした曲。日本的なテンポの揺らぎが、曲なかに組み込まれている、その要素がスタンダードになればとアプローチしてます。
ヒデロー 太鼓の音の長さに注視し、間を大切にした曲。
SARO 足をゆっくり動かすと、軌道が残る……。そんなアニメーション的な感覚をアクションに盛り込み「纏う感」を表現してます。
M.7 Silver Forest
ーーロシアの凍てつく大地と人との温かい交流が伝わってくる楽曲ですね
渥美 ロシアツアーを思い起こしながら制作。ロシアはとにかく広大で銀色の針葉樹林の森が果てしなく続く印象。その広大な自然とモスクワで出会った人との交流を曲で表現しました。
ヒデロー 人々の温かさと哀愁とそれぞれが抱える苦悩……。それを思いながら演奏した。
SARO ロシアは個人的にとても良かったのだけどどこか哀しげな印象が残ってます。人、街、いろんなものが、いろんな局面でほっとかれている感じがして……。そんな場面を思い浮かべながらタップしました。
M.8 Island Lovers
ーー南国沖縄の島を感じる旋律と大らかなメロディー。沖縄愛に満ちた一曲
渥美 自然や人に触れて沖縄が好きになり、15年くらい通ってます。沖縄を愛しリスペクトするが故、簡単に沖縄の曲は書けなかった。この曲は、僕的には挑戦なんです。転調したり、リズムを変えたり、新しい沖縄音楽感を盛り込んでます。
ヒデロー 「旅をテーマにアルバムを作るんだったら僕らの大好きな沖縄も入れよう」と……。ついにやった感じです。はじめて沖縄で演奏したときは緊張しました。「お客さんが、この曲を受け入れてくれて良かった」とホッとしたことを覚えてます。
SARO この曲が一番気持いいですね。沖縄をリスペクトしながら演奏してます。このアルバムを締めくくるのに相応しい曲だと思います。
ーーCTHを未体験の沖縄の人たちも聴いていただきたい、そんなアルバムに仕上がりました。では、最後に読者へメセージをお願いします
ヒデロー 僕らのライブは、ミラクルが起きます! アルバムを聴いてライブに来てください! CTHとともに世界中を音楽旅行しましょう!!
SARO CTHを未体験の沖縄の人たちとも、もっともっと繋がっていきたい! 情報は頻繁にアップしてるので僕らのオフィシャルサイトにも遊びにきてください!
渥美 沖縄好きなのでもちろんまた来ます! CTHの良さはライブ! 100倍ハッピーになれるのでライブに来てください!!
(※1)「邦楽2.0」
「どんな楽器でも邦楽が奏でられれば、より能動的な日本音楽文化を世界に発信できる」との想いから京都にて古典邦楽を研究し「邦楽2.0」というメソッドを考案。ジャズがジャズに聴こえるための仕組みががある様に、邦楽に聴こえる仕組みを古典の構造から応用したもの。
【Trailer】Conguero Tres Hoofers meets Europe 2014 / DVD
【Conguero Tres Hoofers PROFILE】
バンド名は「Conguero=コンガ(打楽器)叩き」、「Tres=ギター(の原型)」、「Hoofers=タップダンサー(の俗語)」に由来する。EDWIN CM や NHK WORLD 等への楽曲提供やプロデュース等で活躍する渥美幸裕 (G)、北野武監督の映画「座頭市」や UNIQLO CM などで話題となった SARO (Tap)、真心ブラザーズから由紀さおりまでをサポートする西岡ヒデロー (Per.) によるバンド。シンプルな楽器と体を使ったフィジカルなライブ・パフォーマンスが話題となり、アルバムリリース前に GREEN ROOM FESTIVAL 2010、FUJI ROCK FESTIVAL 2010/2011には2年連続出演を果たす。2011年1st アルバム、翌年には2ndアルバムをリリース、いずれもiTunes Music Store のジャズチャートで1位を記録。2014年6月にはバンド初の54日間に渡る長期ヨーロッパツアーを敢行しパリジャパンエキスポ等約30本のライブを決行! 国境を越えるごとに大きく変わる文化に刺激を受けながら、独特の音楽性と音の無い絶妙な「間」の存在感を更に進化させ国内ツアーに凱旋。2015年にはロシアツアーにてロシアテレビ4局の出演、ライブCD「LIVE CTH」をリリース。2018年には3年ぶりのアルバム『 Musical Traveler』をリリース、世界を舞台に果敢なチャレンジを続けている。
▶︎Conguero Tres Hoofers Website
▶︎Conguero Tres Hoofers ON-LINE SHOP
Conguero Tres Hoofers 沖縄LOVEwebTV 今日の訪問者 213
2年半ぶりのアルバム『Musical Traveler』をリリースした、世界を音楽旅行している3人組のConguero Tres Hoofersへのインタビュー動画です。沖縄LOVEwebのロングインタビュー(テキスト版)とともにお楽しみください
世界を音楽旅行している3人組のConguero Tres Hoofersが、
2年半ぶりのアルバムリリース!!
2014年より3年間、旅をして出逢った国、街、人、文化等から得た
強烈なインスピレーションをそのまま音に落として楽曲化。
彼らの解釈で創られた楽曲は、
その土地ならではの風土や人との繋がりが色濃く、鮮やかに、力強く描かれている。
はじめてなのになぜか感じるサウダージ(郷愁)感。
改めて「音楽は国を越えて人の心をつないでいる」ことに気付かされる。
よみがえる彼の国の思い出、そして憧憬へと心を解き放ってくれる一枚。
【Conguero Tres Hoofers/Musical Traveler】
ARTIST:Conguero Tres Hoofers
CD TITLE:『Musical Traveler』
RELEASE:2018年2月10日
PRICE:2,000円(without tax)
CODE:CTH-003
購入:Musical Traveler_WebShop
詳細:Conguero Tres Hoofers『Musical Traveler』Website
Conguero Tres Hoofers 3rd Album 『Musical Travele』
【Conguero Tres Hoofers/Musical Traveler】収録曲
1. Musical Traveler 2. Far East 3. Around the Ark
4. B.O.W 5. Platz / Puls 6. 纏う~Matou (Wear it)~
7. Silver Forest 8. Island Lovers
▶︎Conguero Tres Hoofers LIVE SCHEDULE
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