2017年10月3日

Awich INTERVIEW 沖縄音楽旅行 Vol.25

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Awichが覚醒! 奇跡のアルバム『8』リリース!
沖縄と東京と世界を結ぶアーバン・トライバルミュージックが誕生!!

Interview & Text:幸田悟

ディープな歌声とエモーショナルなリリックで聴く者を神秘的な別世界に誘う女性ラッパー&シンガーのAwichが遂に覚醒!! 東京のストリートシーンを騒がせ続けるChaki Zulu(from YENTOWN)の全面プロデュースという最強のサポートを得て、表現者として歩んできたこれまでのキャリア、構築してきたアイディアを出し尽くした作品が誕生した。全国ツアーの最中の彼女を直撃、ニューアルバム『8』の制作のプロセスから人生哲学まで、Awichのすべてに迫ったスペシャルインタビュー!!

ーー10年ぶりのアルバム『8』リリースおめでとうございます。これまでいくつか作品を発表してきましたが、ようやくAwichが描いていた事の一端が具現化したような作品が誕生しました。今回のアルバムのコンセプトをズバリ教えてください
Awich 明快なコンセプトありきでスタートしたわけじゃないけど、「トライバル」は、いつも私の中にあるテーマ。今回はそれと対比しながらコントラストの効いたアルバムになった。あえてテーマを掲げるとするなら「アーバンとトライバル」。「都会的なストリートを歩いているけど土臭い」的な、そのギャップが好き。そのコンセプトに深さと広がりを与えてくれたのが、プロデューサーのChaki Zuluさんやこのアルバムに参加してくれたアーティストたち。
kZmと「Crime」を制作した所からすべてがはじまった。この楽曲の制作途中に、kZmが「これはヤバい」ってChaki Zuluさんに聴いてもらって、彼がプロデュースを担当することになった。そういう流れの中で私のやりたいことをひとつひとつ具現化していったアルバム。

ーー曲の並びや繋ぎなど、クラブワークのような流れがあるね
Awich 音楽のジャンルの幅が広いアルバムだったので、曲と曲と間のトランジッションにもこだわりたかった。そのオーダーにChakiさんはしっかり応えてくれた。アイディアを出し合い、このアルバムがひとつの作品として仕上がった。ランダム再生しないでアルバム全体の流れで聴いて欲しい。

ーーChaki Zuluのプロデューサーとしての凄いところは?
Awich オープンマインドなところ。彼がクリエイトすると何でもカッコ良くなる。モノ作りの現場で、常にフラットでいるからこそ、どんな音でも活かすことができるのだと思う。「もっとできる! もっとできる!!」ってアーティストの能力をどんどん引き出してくれるところですね。

ーーさらに、さまざまなアーティストとの共演でさらに表現の幅が広がった
Awich ストリートから絶大な支持を獲得し続けるラッパー Anarchy、音楽シーンだけでなくアパレル界隈をもザワつかせる話題のクルーKANDYTOWNからYOUNG JUJU、ネオトーキョーのヒップホップ集団YENTOWNのkZm、SOIL&“PIMP” SESSIONSのトランペット奏者Tabu Zombieなどが参加。さらに沖縄からは、沖縄音楽界のレジェンドのひとりである古謝美佐子さん、石垣島生まれ沖縄育ちのラッパー、RITTO等が参加してくれました。

ーー英語、日本語、ウチナーグチなど効果的にミックスしている。意識して言語を使い分けているの?
Awich 歌詞で一番出てくる言語は英語だけど、聴いて欲しい人たちを思い浮かべて歌詞を書きます。例えば、日本の子たちに聴いてもらいたいと思えば日本語で歌ったり、世界に伝えたければ英語、沖縄のクールさを伝えたければウチナーグチという感じ。
それと、大切にしているのは、ビートのグルーヴと言葉のノリです。マッチングするかが重要。ビートのグルーヴに日本語がどうしてもマッチしない場合はMVに訳をつけたりして、英語がわかならい人も楽しめるような仕掛けを作ります。

ーージャマイカ的ななまりやアクセントも効果的ですね
Awich 特に意識はしてないのですが、アメリカに行った時にもアイランドっぽいって言われた。確かに沖縄やジャマイカは南の島くくりで「アイランド」という共通のノリはあると思う。


Crime – Awich ft. kZm (Prod. Ke Yano$ & Chaki Zulu)

ーー気になる楽曲をピックアップしていくつか質問を。#02. 「Crime」は、ミュージックビデオも含め極めてセクシュアル。アーバンな情景、トライバルな情愛を刺激的に表現してますね
Awich ストーリー的には、別れた元彼に対する歌。インディペンデントな女のプライド。「恋とか愛とか結婚など、スタイルに囚われずに自由に愛したい」そんなクールな女性の主張をリリックに込めた。

ーー「I know you still have videos of」の部分はドキドキするね(笑)。刺激的な歌詞をちりばめているしリリックのリズムの乗せ方、kZmとのからみももいい
Awich この曲がアルバムのひとつの軸になっていることは間違いない。リスナーにもドキドキ感を感じて欲しいし「この歌詞ヤバい」みたいな感想はメッチャ好き。

ーー#04. 「Detox 」は、SOIL&“PIMP” SESSIONSのトランペット奏者Tabu Zombieとの共演が実現。ワウ(エフェクター)を効かせたギターのカッティング、ベースのリフやリズムも含め素晴らしいトラックですね
Awich #3.「Pin」のエンディングを受けてアフロビートのリズムで曲を作り始めた。音楽好きの心をつかむ曲ですね。Chakiさんがトランペット奏者のTabu Zombieとも繋げてくれた。最高なグルーヴに仕上がった。

ーー#05.「Move Way」は、ストレートなブルースロック的なボーカルスタイル。「You was always words no action」というリリックが象徴する通り、浮気男に三行半を突きつけるストーリーですね。現在の日本の男の子女の子は、Awichの目にどう映ってる?
Awich 私のファンの女の子は、表現力豊かな女の子が多い。そういう意味では日本の女性は、強くなってきてると思う。日本人の男性には、おとなしい女の子が好かれる傾向があると思うけど、恐れずどんどん表現していって欲しい。でも日本の男の子にも、自我をしっかり持っている女の子に対して、 すべてを受け止めて更に引っ張っていけるくらいの器とパワー(熱量)がある子たちがたまにいて、そういう男を見るとかっこいいと思う。とても魅力的!


Remember – Awich feat. YOUNG JUJU (Prod. Chaki Zulu)

ーー2017年7月7日に iTunes にて先行配信した #07. 「Remember」は、アルバムの中で最もダンスホール的なキラー・チューン。ロケ地満載で、ハイクオリティーなミュージックビデオも話題沸騰ですね
Awich 今、全国ツアー回っているんだけど、2017年、夏のアンセム的な感じで盛り上がってる。MVは、新しいことしたかったし、今までに無いことしたかった。それを形にできたと思います。賛否両論あるけど、それもセーフ・ゾーンから抜け出して、世の中に広まったという証拠。すべてを肯定されるのではなく、賛否があってあたりまえって思うし。ワクワク感や「やりたい」という気持ちに正直になると段違いにパワーも身に付く。恐れずに進むって決めると、「好き」という真っすぐな気持ちが道標となるんですね。

ーー#09. 「Jah Love」は、フィーチャリングのYomi Jahが抜群の存在感。Awichのラップに包容力を感じる。「Me and my baby Riding thru constant spree All eyes on we And we not pop no style(いつでもオリジナルなスタイル)……And they not know a ting Love is all we bring(私たちには愛しかない)」というリリックもグッとくる
Awich  Yomi Jahというヤバいヤツが出てくる(笑)。レコーティングは超一生懸命だったし、超可愛かった(笑)。親子の愛を伝えたかったし、リスナーのシングルマザーを勇気づけたかった。この曲を聴いて 似たような境遇にある人たちから、「娘を抱きしめたくなった」とか「お母さんありがとうって言いたくなった」って言われることがあってとても嬉しい。しかも、こういう微笑ましい曲が終わって次の#10.「WHORU? 」っていうブリブリな曲の頭にYomi Jahの声で「Husky Studio」ってフレーズが入ってるところも、「この親子、ワルっ」って感じで好き。いいことも、悪いことも一緒に体験してきたし、これからもしていく、一緒に成長してる感じ。


WHORU? – Awich feat. ANARCHY (Prod. Chaki Zulu)

ーーMVも印象的な#10.「WHORU?」。ANARCHYとの対比もいい
Awich ライブでも盛り上がる曲が欲しかったのでそれをイメージして制作。アタシが一番、俺が一番的にシンプルでゴリゴリな感じに仕上がった。

ーー#11. 「Chong」は、まさにウチナースタイル。Rittoのラップ部分もマジムン感が出ててとてもいい!!
Awich チョンチョンキジムナーのChongね。Rittoは、マジムンっすよ(笑)。このバースは超カッコいい。沖縄でやるのが超楽しみ。沖縄の子達に聴いて欲しくて作っているので、沖縄でのライブは、この曲でメッチャ盛り上がって欲しい!!

ーー#13. 「Ashes」は、このアルバムのもうひとつの核になる曲。亡き夫を弔うエピソードがリアルにドキュメント的に綴られている。しっかり自己を俯瞰視できているからこそのリリックだし、愛に溢れている。Yomi Jahとの強い絆を感じる事ができます
Awich この曲に関しては、時が経過して、いろんなことに決着がついたからこそ誕生した。まさに私たちのドキュメンタリー。旦那が亡くなった時、遺灰を海に流すというのが彼の生前からの遺言でした。最初は彼に所縁のあるブルックリンの海に流そうを思ったけど、そうではなく沖縄の海に返す事にした。一番は娘のために。彼女が自分の父がどうなったかを思い出す時は景色が綺麗な方がいいと思ったから。

Please become the water and breeze
この水に、この風に、なってください
The sun the cloud the mountains and trees
太陽に、雲に、山に、木に、
Your hair your skin your heart
この子の髪の毛に、肌に、心に、
Your energy to love
この子が愛する力に、
Everything you need to go on
前へ進むために必要な全てに……

娘と一緒に散骨をしました。海に戻すだけではなく、見たものすべてに返そうって……。
「彼のくれたエネルギーが、これから私たちが生きていく上でエネルギーになる」。
この歌は、3人のエナジーの記録なんです。


Rainbow – Awich (Prod. Ke Yano$ & Chaki Zulu)

ーーファッションもシンセ風サウンドも80年代感満載の#14. 「Rainbow」。アルバムの中でも良いスパイスになってますね
Awich 80’sっぽく作りたくてMVもトータル的に。あのビデオはクレージー。ぜひMVを見てください。

ーーそして沖縄の民謡界の生きるレジェンドのひとり、古謝美佐子さんとのコラボレーションが実現した#15. 「UMUI」。歌に込めたメッセージもいい。古謝さんのシンプルな歌詞、アジアンテイストなサウンドも素晴らしい!!
Awich 最初に古謝さんにやってくださいっていったときに「できない」っていわれたけど(笑)、しっかり挑戦してくれた。沖縄の民謡の唄者という定冠詞がなくてもリスナーにその凄さが伝わる曲にしたかったので、古謝さんのいろんなテイクをChakiさんに送って先入観なしでサビになるものをチョイスしてもらった。すごくシンプルなフックになっているんだけど、私がイメージするアーバン・トライバルな作品になった。ニューオリンズのクリエイターがこのアルバムの中で最も「UMUI」がいいて言ってくれた。きっと「痛みがわかる」って言いう部分で自分のコミュニティーと沖縄とがシンクロしたのかもしれない。この歌の真意が伝わったのだと思う。古謝さんリスペクトな曲です。

ーー『8』 をリリースしたことで無限の可能性の扉を開いた。MVも含めファッション、ダンス、インスタレーション的に世界観を構築している。すでに次を見据えてますね
Awich 世界に向かっていきたい。世界のいろんなところでパフォーマンスしたいし楽曲もつくりたい。それに近づくために始動しています。

ーー以前から、沖縄の若い人達に対して沖縄を出てチャレンジして欲しいとメッセージし続けてます。自身も『8』のレコーディングを機にライブツアーなど沖縄外での活動が再び増えてきました。沖縄外での活動で感じたこと、沖縄の若い人達へ伝えたい事をあらためて教えてください
Awich 外に出る時に自信につながるのが自分の根源。自分で自分の根っこをカッコいいと思えているかが大切。ほんとの自分をしっかり把握して、それをカッコいいと思えるように、自分の足下を深く深く掘って欲しい。自分のオリジン、源を知ってどんどん表現できるようになって欲しいですね。

ーー最後に読者に向けたメッセージを
Awich 14歳ではじめてCDをリリースして、20歳でアルバムをリリースして、トントン拍子で来たけど、そこからかなり回り道をした。でも今またこうしてアルバムをリリースできた。自分のやりたいことにフォーカスしていけば、きっとチャンスは訪れる。好きと思えるエネルギーが一番! 自分の「好き」信じて突き進んで欲しい。可能性は無限なのだから。

【Awich PROFILE】
Awichは本名の漢字の直訳であるAsia Wish Childを略した造語。1986年、沖縄県那覇市生まれ。14歳のときに沖縄産ヒップホップのコンピレーションアルバム『Orion Beat』に客演で参加。2006年にEP『Inner Research』でデビュー。米国アトランタに渡り、ファーストフルアルバム『Asia Wish Child』を2007年にリリース。制作会社「CIPHER CITY」を設立。2017年8月、Chaki Zuluの全面プロデュースによる10年ぶりのフルアルバム『8』をリリース。
▶︎Awich Website
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Awich 沖縄LOVEwebTV 今日の訪問者 209

Awichが10年ぶりのアルバム『8』をリリースした! 沖縄と東京と世界を結ぶアーバン・トライバルミュージックがここに誕生!! Awichのアルバムリリース・インタビュー動画! ぜひご覧下さい!!

【Awich/8(エイト)】
ARTIST:Awich
CD TITLE:『8(エイト)』
RELEASE:2017年8月8日
PRICE:2,500円(without tax)
CODE:BPMT-1004
LABEL:YENTOWN、bpm tokyo
詳細:Awich Website

Awich『8(エイト)』収録曲
01. Intro (Bad Reception) (Prod. Chaki Zulu)
02. Crime ft. kZm (Prod. Ke Yano$, Chaki Zulu)
03. Pin (Prod. Chaki Zulu)
04. Detox ft. Tabu Zombie (Prod. Chaki Zulu)
05. Move Way (Prod. Chaki Zulu)
06. Come Again (Prod. Daisuke Nakamura, Chaki Zulu)
07. Remember ft. YOUNG JUJU (Prod. Chaki Zulu) ★7/7 iTunes にて先行配信
08. Gentle Paranoia (Prod.Deejay Abstract)
09. Jah Love ft. Yomi Jah (Prod.STiKz)
10. WHORU? ft. ANARCHY (Prod. Chaki Zulu)
11. Chong ft. Ritto (Prod. letgo.)
12. Interlude (Good Reception) (Prod. Awich, Chaki Zulu)
13. Ashes (Prod. Ke Yano$, Chaki Zulu)
14. Rainbow (Prod. Ke Yano$, Chaki Zulu)
15. UMUI ft. KOJA MISAKO (Prod. Ke Yano$, Chaki Zulu)
16. Sega (Prod. June Jissle)
17. Views (Prod. Ke Yano$, Chaki Zulu)

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