2012年8月17日
OKINAWA GOOD LOCATION PHOTO ESSAY
「仲順流り節」〜受け継がれるエイサー。祖先を敬う沖縄を感じる〜
「エイサーエイサーヒヤルガエイサー、スリサーサー、スリ!」 旧暦の7月13日が近づくと、各地で聴こえてくるエイサー。今でも旧暦で行われるお盆。祖先、先達へ鎮魂と敬愛の念を送り続ける沖縄県民。沖縄の原風景を音楽旅行しましょう。
photo: ジャン松元
JOHN MATSUMOTO WEB SITE:CHAOS~OkinawaAmericaAsiA~
「七月七夕中ぬ十日」から始まる『仲順流り節』。現在もエイサーの代表曲のひとつとして多くの沖縄県民に愛されている。
『仲順流り節』の歌詞は時代によっていろいろと変化しているし、諸説あるが「亡くなった親を思う気持ちを、先祖を敬う心に重ね合わせた歌」とここでは解釈したい。冒頭部分に関しては原曲のまま、今に伝わっているとされている。
沖縄の旧盆(シチグヮチ)は、旧暦の7月13日から15日までの3日間。7月七夕から準備がはじまる。13日は「ウンケー(お迎え)」という祖霊を迎える日。供え物をして火を焚きお迎えする。14日は「ナカヌヒー(中の日)」。三度の食事を仏壇に供える。15日は「ウークイ(お送り)」。祖霊を送る日で、線香をあげて紙銭(ウチカビ)というグソー(あの世)で使うお金を焼く。そして、夜更けに門前で線香をたいて祖霊を送る。昔はウークイの儀式のあとにエイサーが演じられた。
エイサーの起源に関しても諸説ある。福島県いわき市出身の袋中上人が1603年から3年間、琉球において浄土念仏の布教活動を行った。そのときに伝えた念仏踊りがエイサーの源流であるといわれている説が最も有力。
伝統エイサーは、現在も地域の盆の行事として、その地域の青年会を中心に行なわれている。演舞曲は地域の民謡を用いるなど、先輩達が大切にしてきたものを次の世
代へと脈々と受け継いでいるところがすばらしい。以前は、伝統の曲に加え、各青年会とも毎年新曲を生み出していたという。沖縄音楽がいかに生活に根ざしているかが分かるエピソードだ。
エイサーは、主に、旗頭、太鼓踊、手踊、チョンダラー、地謡で構成され、踊りながら地区を練り歩く。これを「道ジュネー」と言う。地謡(じうて)とよばれる唄い手からは、よなは
徹、松田一利、上間綾乃など、現在も多くの唄者を排出している。沖縄音楽界にとっても、大きな役割を担っている。
祖先、先達を尊敬し地域を愛し誇りを持って演じられるエイサーには、個々の魂が宿っている。だからこそ、見るものの心を打つのだ。
復帰40周年を迎えた沖縄。
今年も各地で、魂のエイサーが演じられる。祖先、先達へ鎮魂と敬愛の念を込めて。
【VA/『うたぬ美らさ ~心を結ぶ沖縄の歌~』】
RELEASE:12年7月18日
CODE: COCJ-37449
PRICE: 2,100円(tax in.)
沖縄県民なら知っておきたい、沖縄の大切な歌、全20曲。「仲順流り節」は「七月エイサー」としてメドレーで収録。貴重な音源満載だ!!
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