ホーム > 沖縄音楽活用型ビジネスモデル創出事業 > 沖縄音楽旅行 > 【連載コラム】沖縄音楽の楽|又吉恭平|沖縄音楽旅行Vol.49

2023年12月2日

【連載コラム】沖縄音楽の楽|又吉恭平|沖縄音楽旅行Vol.49

,,,,

Share on Facebook

沖縄音楽の楽
琉球古典音楽野村流伝統音楽協会の又吉恭平が琉球古典音楽や沖縄民謡など、沖縄音楽の「楽しみ方」を貴重な音源や、曲にまつわるエピソードで伝える連載コラムです。
文|又吉恭平

タイトル:「琉球楽器」

琉球楽器について

沖縄を代表する楽器と言えば三線(サンシン)。これは誰もがそう答えるだろう。しかし沖縄はその他にもいくつかの楽器が存在する。例えば琉球古典音楽では、三線以外に、箏・笛・胡弓・太鼓という主に5種類の楽器で演奏される。

三線について、過去の文献をひもとくと、1392年に中国(福州)の人々によって琉球の地に数々の楽器が持ち込まれている。その中にあった「三弦(サンシェン)」が後に改良され、三線になったと言われている。ちなみに三線が日本にわたり「三味線」の原型になったという説も有名である。

筝(クトゥ)は1700年頃に日本から琉球に伝わったと言われ、楽器も本土で製作されたものを用いているため同じものであるが、弦の張り具合や、指にはめる「爪」という道具の形状が本土とは異なる。

笛(フエ、ファンソウ)の伝来時期は不明だが、中国から伝わったとされ、現在では改良型の楽器も使われるが、中国式の明笛(ミンテキ)を現在でも用いている奏者がいる。

胡弓(クーチョー)も中国から伝来したと言われてきたが、筆者はその演奏方法や形状から東南アジアから伝来したのではないかと考えている。形状は三線とよく似ているが楽器本体を回して弓で演奏することに大きな特徴がある。

太鼓(テーク)は締め太鼓と平太鼓の2対で演奏する打楽器である。過去の絵図をみると中国式の太鼓が描かれている場合もあるが、現在は殆どが日本製のものを用いている。

このように現在琉球古典音楽で用いられている楽器は、様々な国や地域から伝来し、琉球独自に発展したと言える。しかし、現在まで様々な楽器は伝わってきたはずであるが、残ったのはわずか5種類と考えると、これら楽器はまさに琉球人の心に響く音色であったということであろう。

琉球楽器を聴く

ここでは、琉球楽器の音色を堪能できる音源を紹介したい。「民族楽器でつづる琉球の調べ」では、歌はなく、琉球楽器を中心に演奏されたいわばインストゥルメンタルな一枚である。特に普段では中々聴くことのない箏、笛、胡弓の音色など、演奏を中心に聴くことができる。

「普久原恒勇 獅子舞」は、作曲家・普久原恒勇の創作した器楽曲を中心に収録したアルバムで、楽曲によってはこれまで琉球楽器にはなかった技法もとりいれており、琉球器楽の新たな可能性を表現している。

「民族音楽 詩曲 響(とよむ)」も普久原恒勇の作品。こちらは琉球楽器を中心としたオーケストラ・響(とよむ)の会によって演奏される。琉球の天地開闢から人々の祭りの風景までを表現した壮大な楽曲で、聴くものを魅了することだろう。

【今号のフォトアルバムキャプション】
❶「三線・箏・笛・胡弓・太鼓」琉球古典音楽で用いられる5種類の楽器(撮影:新垣盛明) ❷「三線」沖縄で最も有名な楽器。中国から伝来(撮影:大城洋平)❸ 「胡弓」三線とよく似ているが弓で演奏する(撮影:大城洋平) ❹CD『民族楽器でつづる琉球の調べ』琉球音楽のアルバムでは珍しく最初から最後まで歌は無く楽器の演奏のみ ❺CD『普久原恒勇 獅子舞』洋楽器の技法も取り入れながら琉球楽器の音色を活かした一枚 ❻CD『詩曲 響』指揮者なしの琉球楽器オーケストラ、阿吽の呼吸で奏でる壮大な琉球絵巻

又吉恭平 PROFILE
沖縄県立芸術大学大学院音楽芸術研究科音楽学専攻修了。国立劇場おきなわ組踊研修修了生(第3期)。琉球古典音楽野村流伝統音楽協会師範(歌三線・胡弓)。現在は琉球古典音楽の演奏家として、県内、県外で活動を行っている。

沖縄LOVEweb INFORMATION


エンドユーザーに届き、しっかり伝わる情報発信! 沖縄LOVEwebへのお問い合わせ&掲載依頼はこちら!!
沖縄LOVEwebへの情報掲載


沖縄音楽旅行をWEBで! バックナンバー入手も可能!! 沖縄音楽旅行全49巻 全巻コンプリートしてください!
沖縄音楽旅行 WEB版 Back Number 一覧はこちら


BEGIN、ORANGERANGE、MONGOL800など沖縄アーティストへのインタビュー動画、随時更新!
沖縄LOVEwebTV YouTubeチャンネル


沖縄カルチャーの広告塔 幸田悟による沖縄アーティスト・ロングインタビュー完全版!
沖縄タイムス電子版連載|幸田悟の沖縄音楽旅行+プラス


沖縄ちゅらサウンズ♪ 音源視聴・購入はQRコードから

コメントは受け付けていません。

ホーム > 沖縄音楽活用型ビジネスモデル創出事業 > 沖縄音楽旅行 > 【連載コラム】沖縄音楽の楽|又吉恭平|沖縄音楽旅行Vol.49