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2023年6月11日

【連載コラム】沖縄音楽の楽|又吉恭平|沖縄音楽旅行Vol.47

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沖縄音楽の楽
琉球古典音楽野村流伝統音楽協会の又吉恭平が琉球古典音楽や沖縄民謡など、沖縄音楽の「楽しみ方」を貴重な音源や、曲にまつわるエピソードで伝える連載コラムです。
文|又吉恭平

タイトル:「かぎやで風節」

「かぎやで風節」とは

「かぎやで風節」は琉球古典音楽を代表する楽曲。沖縄の結婚式では必ずと言っていいほど演奏され、この音曲に合わせて、新郎新婦やその家族が踊る風景をよく目の当たりにする。その歌詞は決まって「今日のほこらしや なをにぎやなたてる 蕾でをる花の 露きやたごと」であり、その歌意は「今日の良き日を何に例えよう、まるで蕾の花が露と出会ったことのようだ」という意味である。しかし、かぎやで風節にはその他にも多くの歌詞が用いられて歌われるのを皆さんはご存知だろうか。

そもそもこの歌のルーツは、国頭村奥間であると言われる。現地を訪ねてみるとそこには「かぎやで風節」の歌碑が建られている。しかしその歌詞は「あた果報のつきやす 夢やちやうも見だぬ かぎやで風のつくり べたとつきやさ」とあり、普段よく歌われている「今日の誇らしや……」とは異なっている。この「あた果報の……」の歌詞ができた経緯であるが、琉球王国第2尚氏の始祖・尚円王がまだ「金丸」と名乗っていた頃、「奥間鍛冶屋」と呼ばれる鍛冶屋に助けられた。金丸はその恩を忘れず、1470年に琉球国王になると、奥間鍛冶屋の息子を国頭按司(琉球の貴族)として取り立てた。この時、奥間鍛冶屋の息子が詠んだ歌が「あた果報の……」であり、その意味は「大きな果報が得られようとは夢にも思わなかった。鍛冶屋でいろんな物を作ってきたが、そのおかげで思いがけぬ果報が身にぴったりとついた」となる。一説には鍛冶屋が詠んだ歌ということで「鍛冶屋手風節」と当て字があてられることもある。

このような由来のある「かぎやで風節」であるが、他にも多くの歌詞があり新年の歌、年忘れの歌、国王を讃える歌等、実に様々である、それだけこの歌が時代超えて多くの人々愛されてきたということだろう。

「かぎやで風節」の音源を聴く

かぎやで風節の音源はいくつもあるが、私が今回紹介したい音源は2つある。まず、琉球古典音楽安富祖流の人間国宝・西江喜春らが演奏する『沖縄の古典音楽』(1997年)である。西江と共演者である玉城正治の伸びのある豊かな歌声と、奏でられる三線、そして箏、笛、胡弓、太鼓とが見事に調和しており、まさに絶品である。

2つめは琉球古典音楽野村流の師範・比嘉康春の『かりゆしの古典』(1999年)である。比嘉の透き通るような歌声に、的確に奏でられる三線の音、そして伴奏の箏・笛・胡弓が作り出す世界からは古典の神髄を感じる。その他にも多くの音源があるので読者の皆さんも是非自分好みの音源を見つけていただきたい。

今号のフォトアルバムキャプション
「かぎやで風節」の歌碑
国頭村奥間の奥間鍛冶屋発祥の地に「かぎやで風節」の歌碑が建てられている。「鍛冶屋手風節」と当て字があてられる説もある

『沖縄の古典音楽』
琉球古典音楽安富祖流の人間国宝・西江喜春ほか。『沖縄の古典音楽』(1997年)。沖縄古典音楽の名手たちの艶やかな声と演奏は必聴

『かりゆしの古典』
琉球古典音楽野村流の師範・比嘉康春の『かりゆしの古典』(1999年)。沖縄の古典音楽を勉強したい人にとって最高の教材

又吉恭平 PROFILE
沖縄県立芸術大学大学院音楽芸術研究科音楽学専攻修了。国立劇場おきなわ組踊研修修了生(第3期)。琉球古典音楽野村流伝統音楽協会師範(歌三線・胡弓)。現在は琉球古典音楽の演奏家として、県内、県外で活動を行っている。

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