ホーム > 沖縄音楽活用型ビジネスモデル創出事業 > 沖縄音楽旅行 > 【LIVE REPORT】本土復帰50年 ゆたか ゆたか コンサート 〜月桃の独り言「は・ひ・ふ」〜|沖縄音楽旅行 Vol.44 WEB版

2022年9月15日

【LIVE REPORT】本土復帰50年 ゆたか ゆたか コンサート 〜月桃の独り言「は・ひ・ふ」〜|沖縄音楽旅行 Vol.44 WEB版

,,,

Share on Facebook

沖縄への思いを歌い続ける、シンガー・ソングライター
海勢頭豊と佐渡山豊のふたりのゆたかのコンサート

ふたりのゆたかが見つめた沖縄と、未来のゆたかな沖縄とは

「本土復帰50年 ゆたか ゆたか コンサート 〜月桃の独り言「は・ひ・ふ」〜」が2022年6月26日(日)、新報ホールにて開催された。沖縄への思いを歌い続ける、シンガー・ソングライターの海勢頭豊と佐渡山豊のふたりのゆたかが復帰前後の世相、人情、風景を振り返り、沖縄が大切にしていくべきことや思いを、それぞれのオリジナル・ソングで伝えた。ふたりのゆたかが見つめた沖縄、そこから導かれる未来のゆたかな沖縄のために必要なこととは……。

感染症対策を講じられた会場は、この日のコンサートを待ちわびた観客で満席。

暗転したステージ、復帰前後の貴重な写真がスライドショーで映し出され、ステージ向かって左手に海勢頭豊、海勢頭愛、島田路沙の3人、そして、右手に佐渡山豊、ローリー、国吉亮の3人が登場、海勢頭の「琉球夜曲」でコンサートはスタートした。

それぞれの名曲を交互に歌うスタイルで、海勢頭は、「島九年母」、「喜瀬武原」、「山鳩」、「令美」など、佐渡山は、今回のテーマのような曲、「変わり行く時代の中で」(うちなーぐちバージョン)、「第3ゲート」、「人類館事件の歌」、「ドゥチュイムニィ」などを次々に歌い上げる。

佐渡山にとって海勢頭は尊敬する大先輩。海勢頭にとってはかけがえのない後輩であり仲間。MC時の言葉の端々、お互いの演奏をステージで見つめるその姿に、魂の絆を感じる。とりわけ印象的だったのは、飾らないふたりのなごやかなMC。それぞれの歌では、過去の歴史を直視させられ、自問自答を繰り返す。広く、重く、深く、熱く、激しく感情がジェットコースターのように揺さぶられるのだが、MCの空気感がそれをうまく緩和させてくれる。緊張と緩和がいい加減に調和し、説明のつかない感情を笑いと涙に変えるのだ。

コンサートの中盤には、急遽この企画の仕掛け人、琉球新報の小那覇安剛さんと、詩人のたからべんさんが登壇し、楽しいやり取りが繰り広げられる。小那覇さんが、このコンサートのタイトルの「は・ひ・ふ」には、反戦、非戦、不戦の意味があると説明、コンセプトを伝えた。

本編のエンディング。海勢頭豊の「月桃」を、会場の観客を巻き込んでの全員の大合唱で大団円を迎えた。

そして、鳴り止まぬアンコール。
再び出演者全員が満面の笑みでステージに現れ、海勢頭の「琉球讃歌」を演奏、歴史的なコンサートの幕は閉じた。

ふたりのゆたかが見つめた沖縄、その歌を通して、観客ひとりひとりが心で感じ、魂(マブイ)を通して考え、答えを導き出す。真にゆたかな島にしていくために、大切にしていくべきこと。それぞれのなかに芽生えた思いこそが、このコンサートで伝えたかったことなのだ。『ゆたか ゆたか コンサート 〜月桃の独り言「は・ひ・ふ」〜』、本土復帰50年の年にふさわしい、文字通りスペシャルなコンサートだった。

海勢頭豊の「月桃」と、佐渡山豊 の「ドゥチュイムニィ」について

海勢頭豊の「月桃」と、佐渡山豊 の「ドゥチュイムニィ」については、別途以下に記す。まぎれもなくこの2曲は、世代を超えて「100年先に伝えたいおきなわのうた」だ。

海勢頭豊「月桃」について
海勢頭豊の代表曲のひとつ「月桃」は、鎮魂や非戦、命や生きることの大切さ、平和への願いを込めた名曲だ。先の戦において組織的戦闘が終結したとされる6月23日の慰霊の日の時期、沖縄県内の小中学校で広く歌われる。想いとともに歌い継がれている曲でもあるのだ。歌の発表から40年、2022年6月22日には、沖縄県西原町内で「月桃」の歌碑の除幕式が敢行された。月桃の歌詞の6番、「香れよ香れ月桃の花 永久に咲く身の花心 変わらぬ命変わらぬ心 ふるさとの夏 ふるさとの夏」。この思い、生涯こころに刻みたい。コンサートのこの日は、会場にも歌詞が配られ、出演者全員と、会場が一体となって「月桃」を歌い、「反戦、非戦、不戦」の思いを共有した。海勢頭愛のバイオリン、島田路沙のボーカル&コーラスが海勢頭豊の歌の世界観を広げ、彩りを加えていたことを書き加えておきたい。

【海勢頭豊 PROFILE】
1943年生まれ沖縄県うるま市与那城町平安座島に生まれる。18歳よりギターを独習。戦後沖縄の心を歌い綴るシンガーソングライター。作曲家として映画音楽、オペラ、バレエ、合唱曲等を作曲する傍ら、沖縄問題を訴え続けて活動。代表曲に「月桃」「喜瀬武原」「さとうきびの花」「中の町青年団」等多数。 島の祭祀を通して幼少時より、琉球の龍宮神・ジュゴン信仰について関心を寄せ、古代史を探求する。 ジュゴン保護キャンペーンセンターを立ち上げ、IUCN(国際自然保護連合)の世界自然保護会議等で辺野古に生息するジュゴンの保護を訴え続けている。沖縄の龍宮神・ジュゴン信仰について書き下ろした2003年「真振」、2013年「卑弥呼コード・龍宮神黙示録」、2019年「琉球文明の発見」を出版。2022年6月、西原町復帰50周年記念事業として「月桃」歌碑建立された。

佐渡山豊 「ドゥチュイムニィ」について
「わったあ島や沖縄ぬ コザぬ街ぬやいびいしが 中の町んかい 家ぐわぁ借とる いっぺえぼうちらあ わらばあやさ」からはじまる佐渡山豊の「ドゥチュイムニィ」は、1972年、沖縄フォーク村のオムニバスアルバムに収録され話題となり、翌73年にエレックレコードから全国リリースされた。戦後、沖縄が抱え続ける矛盾、ウチナーンチュ(沖縄人)の心の叫びをストレートに歌ったメッセージソング、おおいなる独り言なのだ。この歌には、ウチナーンチュが忘れてはいけない、チムグクル(精神・魂・愛)や記憶、風景がある。この歌を歌い続けるなかで、アップデートを欠かさない。現在までなんと70番まであるという。この歌の誕生、そして沖縄本土復帰から50年、「ドゥチュイムニィ」は、常にいまの沖縄の課題を炙り出しているのだ。忘れてはならない記憶を辿りつつ、我々沖縄県民それぞれが進むべき道を見いだすことができる曲でもある。それぞれの「ドゥチュイムニィ」が沖縄の未来を豊かにする。この日のコンサートの終盤、「ドゥチュイムニィ」は歌われた。佐渡山豊、ローリー、国吉亮の3人のコザぬボーチラーズのヒリヒリするグルーヴィーな演奏で、観客の心をグイとつかんで離さない。そして我に返って考えさせられる。昭和に生まれた「ドゥチュイムニィ」は、令和の現在も進化し続けているし、それぞれの「ドゥチュイムニィ」はこれからも生まれ続ける。

【佐渡山豊 PROFILE】
1950年、コザ市出身。1973年、エレックレコードからデビュー。6枚のアルバムを発表する。1978年以降、音楽活動を休止。1994年、友川かずき、三上寛とのイベント「トラ・トラ・トラ」で活動を再開。1996年「ドゥーチュイムニイ」が泡盛のCMに起用されて話題になり、翌年アルバム「さよならおきなわ」をリリースして完全復活した。以後、精力的に活動を展開。2020年10月10日、ニューアルバム「やっとみつけたよ」をリリースする。代表曲に「ドゥチュイムニィ」「変わりゆく時代の中で」「人類館事件の歌」など。

写真提供:Mayumi Hasimoto(5点)

ゆたか ゆたか コンサート 〜月桃の独り言「は・ひ・ふ」〜 Setlist
海勢頭豊
M1 琉球夜曲
M2 中の町青年団
M3 島九年母
M4 コザキチロック M5 帰れ太陽
M6 トゥーヌーマーヌ M7 キセンバル
M8 山鳩
M9 令美
M10 月桃 An琉球讃歌

佐渡山豊
M1 変わりゆく時代の中で
M2 紙の上
M3 第3ゲート
M4 舵のない舟(ローリーの楽曲、歌唱、亮ギター2人でプレイ)
M5 人類館事件の歌
M6 ドゥチュイムニィ

資料提供;琉球新報社(原文ママ)

本土復帰50年 ゆたか ゆたか コンサート
〜月桃の独り言(サンニンヌドゥチュイムニー)「は・ひ・ふ」〜

日程:2022年6月26日(日)
時間:開演 15:00
会場:琉球新報ホール
住所:沖縄県那覇市泉崎1丁目10番3号
出演:海勢頭豊、海勢頭愛、島田路沙
   佐渡山豊、ローリー、国吉亮
料金:一般 2,000円 当日 3,000円
   学生 500円 当日 1,000円)
主催:琉球新報社
後援:沖縄テレビ放送 ラジオ沖縄
問合:098-865-5255

【写真が表示されない場合、こちらをご覧ください】沖縄LOVEweb掲載 同トピックス

沖縄LOVEweb INFORMATION


エンドユーザーに届き、しっかり伝わる情報発信! 沖縄LOVEwebへのお問い合わせ&掲載依頼はこちら!!
沖縄LOVEwebへの情報掲載


沖縄音楽旅行をWEBで! バックナンバー入手も可能!! 沖縄音楽旅行全44巻 全巻コンプリートしてください!
沖縄音楽旅行 WEB版 Back Number 一覧はこちら


BEGIN、ORANGERANGE、MONGOL800など沖縄アーティストへのインタビュー動画、随時更新!
沖縄LOVEwebTV YouTubeチャンネル


沖縄カルチャーの広告塔 幸田悟による沖縄アーティスト・ロングインタビュー完全版!
沖縄タイムス電子版連載|幸田悟の沖縄音楽旅行+プラス


沖縄ちゅらサウンズ♪ 音源視聴・購入はQRコードから

コメントは受け付けていません。

ホーム > 沖縄音楽活用型ビジネスモデル創出事業 > 沖縄音楽旅行 > 【LIVE REPORT】本土復帰50年 ゆたか ゆたか コンサート 〜月桃の独り言「は・ひ・ふ」〜|沖縄音楽旅行 Vol.44 WEB版