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2020年6月1日

かりゆし58 × ORION BEER|沖縄音楽旅行Vol.35

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ORION BEER 100 OKI_INTERVIEW

Interview & Text:幸田悟

かりゆし 58 の思いが詰まったアルバム それが『バンドワゴン』

かりゆし58が2年4ヶ月ぶりにして8枚目のオリジナルフルアルバム『バンドワゴン』を2020年2月22日にリリースした。約4年間休養していた中村洋貴がこのアルバムで デジタル・パーカッションで復帰した。かりゆし58の第2章となる記念すべき作品『バンドワゴン』や、バンドのこれまでとこれからについて、ボーカルの前川真悟に聞いた。

ーーアルバム『変わり良し、代わりなし』を2017年にリリース直後の弊誌のインタビューに対し「洋貴が休んでいる状態で新しい一歩を踏むことが、果たしてかりゆし58としてのちゃんとした歩みなのかを逡巡した期間でもありました」と語ってました。今作での中村洋貴の復帰は感慨深いものがあります
前川真悟 洋貴が音楽をやっていない時代も、一緒にともに生きてきた。現在、いろんなものが大きく変化しているけど、ゆるがないものがある。洋貴が戻ってきてくれたことで、自分たちがやってきたこと自体を信じることができる。俺たちの背骨のようなもの、信じることの真髄が見えました。

ーー昨年、配信限定シングル「バンドワゴン」をリリースしました。改めてこの「バンドワゴン」は、かりゆし58にとってどんな曲ですか?
前川 「優しさ」や「愛」の本質が分かったような、そんな曲です。洋貴が休んでいる間、俺たちはずっと怪我について触れないようにしてました。洋貴もまたしかり。そんな空気感が支配していた中、直樹が「こういうのって本当の優しさじゃないんじゃないか。バンドってそんな生ぬるいもんじゃない」と……。この曲のメロディーに、そんな強い思いを感じたんです(直樹の作曲)。「一緒に生きるということはどういうことなのか」を考えた。一緒に苦しんでいるけど、気遣いすることなく、苦労も共に歩いていこうと思った。人生をともにする覚悟、それが優しさの本質だということに気がつきました。そういう思いが、この歌の歌詞に込められてます。もともとかりゆし58は3人でスタートしたバンドでした。その後、ギターの直樹が正式に加わり、洋貴が休むことになって、和也(柳原和也)がサポート・ドラマーとして支えてくれている。かりゆし58は、最高にいい状態なんです。世の中がとても困難な状況だからこそ5人で音を届けたい。今の状況ともリンクする、聴くべき歌が収録されている、『バンドワゴン』という最高なアルバムができました。

ーーバンドのメンバーって不思議な距離感だけどいい結びつきですよね。まさに運命共同体!
前川 一緒に遭難したようなつながりじゃないかな(笑)。バンドって、色濃いですね。そういう意味では、俺たちが所属している会社の存在もそう。大きな船に乗っている。かりゆし58のライブに来てくれる人、CDを買ってくれる人、それは見えない、形のない「音楽」にお金を払っているわけではない。俺たちを含め、人が生きるお金を与えてくれているんです。そのお礼として「音楽」で返している。俺たちは、みんなのエネルギーで歌うことができているんです。

ーー今回のアルバムもかりゆし58らしく大ボリュームの15曲を収録。その中から筆者的に気になった曲について話を聞きます。まずは、アルバムの幕開けを飾る、宇徳敬子さんとのコラボ曲「声のジェット機:宇徳敬子」について
前川 実はこの歌は、アンマーの続編なんです。いろんな人から「今までかぁちゃんの歌をうたってきたから、次は息子の曲だな」って言われてたんですが、それに対して向かう気になれなかったんです。俺には7歳の息子がいるんですが、こんな仕事をしているからなかなか会うことができない。子育ては、奥さんに任せっぱなしで申し訳ないと思ってたんです。ある日、SNS上で彼女が描いている子育て絵日記を見て、とても救われた気持ちになったんです。子育てしている様子が明るく楽しく描かれてて……。だからせめてもの恩返しにと、夫婦の共同作品として、その絵日記をもとに曲を作ったんです。そして、宇徳さんから声をかけていただいてコラボが実現しました。これは余談ですが、かりゆし58の58は、国道58号からとっているんです。その国道58号は、沖縄県那覇市明治橋から鹿児島県鹿児島市までつながっている。海を越えて全国に歌を届けたいと名付けたバンド名なんです。実は、宇徳さんは鹿児島の人で、言わば海を越えた隣町の人。息子を描くことによって、それがはからずも叶いました。

ーーネーネーズへの提供曲のセルフカバー「千惚り万惚り」、この曲もいい。ネーネーズがボブマーリィの「ノー・ウーマン・ノー・クライ」のカバーを知名定男さんが沖縄の言葉で詞をつけてます。「里前に千惚りアヒ小に万惚り思い思まーてぃ五年(彼に千も惚れ 兄さんに万も惚れ(彼に惚れきってしまった)想い思い焦がれて5年)」という歌詞で始まるこの歌、「千惚り万惚り」の響が忘れられない。すごく印象的なキーワードですね
前川 沖縄のライブハウス島唄に年間100回以上行くというほど、ネーネーズのファン。この曲は、ネーネーズへのラブソングなんです(笑)。沖縄やジャマイカ(レゲエ)の魂が宿っているようにも感じるんです。普遍のルーツミュージックだと自信を持って言えます。知名定男さんから、歌は作るのではなく蘇生させるものと教えていただきました。定男さんとの出会いがなかったら、蘇生させることができなかった曲です。

ーー今年の2月22日、デビュー記念日にギター担当の宮平直樹の双子の弟の勝也(ローチのベース担当)の結婚式披露宴で披露した「カケラ」、これはとても感動的でした
前川 実は、直樹が正式なメンバーになるのに5年もかかった。かりゆし58に入る前は弟の勝也とバンドを組んでいて、本人も悩んでた。直樹の特別な日に、弟の勝也が自分の人生の大切な日を重ねてくるっていうのもすごいなと思った。この歌は、今は天国にいるふたりの母ちゃんと、それを見つめている父ちゃんの気持ちそのものだと思うんです。あまりメンバー同士で露骨に認め合うことはないんですが、この曲に関してはお互い素直に「いいね」という思いが重なりました。

ーー新屋行裕が中村洋貴と歌う「Endroll」もこのアルバムを象徴するような曲です
前川 バンドワゴンのカップリングの曲で、オリジナルとくらべると、とても変化しました。行裕と洋貴が歌ってます。結果、前回のイメージにとらわれることのない、ふたりありきのアレンジとストーリー感が出たと思います。

ーーそして最後に収録されている「Unity-結仁庭-」、そこはかとなく心に染みる名曲です
前川 これは、ネーネーズでも弾いているギタリストの前濱YOSHIROの作曲。彼は、音楽家としての壁があった。それは、自分の曲を持たないが故の悩み。すごく病んだ時期が続いたんだけど、そこから抜け出すキッカケとなった大切な曲。だから、僕のフィルターで汚さないようにしました。自分が訴える曲ではなく、この曲に宿る祈りや命を蘇生させる、そんな歌に。この曲は歌い継がれるべき曲だと思うんです。だから、そこに余計な感情を乗せず透明に歌いました。これは、俺にとっても、新しいアプローチ、次に繋がる曲です。この曲の後、ループして1曲目に戻ったら、同じGのキーから始まる。アルバム『バンドワゴン』は、時と心の隙間を埋めるようにして聴ける、そんな作品だと思います。

ーーこのアルバムを携えて全国ツアーがスタートする予定でしたが、新型コロナウイルスの影響でスケジュールの変更を余儀なくされてます(インタビューは2020年4月17日実施)。いま、かりゆし58として伝えたいことは?
前川 俺たちは、音楽の栄養価を知っている。たくさん自分のことも疑ったからこそ、音楽の栄養価を知ることができたんです。音楽の根が生え幹となり、枝葉となる。そこで生まれた音楽で、それを聴いた人の生活が少しでも豊かになる、そんなキッカケにしたい。「俺たちの音楽には、あなたの部屋をもう少し明るく広く感じてもらえる、そんな栄養分が入っているからぜひ聴いて欲しい」と、自信を持って言えます。

ーー受難な年だけど、それだけにこの状況が収束したらライブを思い切り楽しみたい。 2017年に沖縄でBEGIN、MONGOL800、HYなどが参加するカウントダウンイベントが誕生。毎年カウントダウンのタイミング、大トリを務めるバンドが入れ替わりで開催しているのだけど、2020年はなんと、その大役にかりゆし58が抜擢!!
前川 この上なく光栄だし、使命感を感じてます。大切で厳かでハッピーなカウントダウンをしようって決めています。音楽を介してライブで一緒に過ごすということが、どんなに価値があり、尊い場なのかということを実感しました。だからこそ、ハッピーな場にしたい。今年は、新型コロナウイルスのおかげでマイナスからのスタート。それをひっくり返すくらい前向きなカウントダウン・ライブをして「大変だったけどよかった」と思ってもらえる、そんな一年の締めくくりにしたい。人生を謳歌できるそんなステージにします!!

ーー来年はデビュー15周年という節目の年を迎えます。来年に向けた想い、そして読者にメッセージを
前川 かりゆし58は10周年直前で洋貴がリタイアしました。そこから立ち直って15周年。人間に例えると中学生で、やたら多感な時期。それから2020年を乗り切ったという節目でもあります。だから俺は楽しみだし、みんなで暴れたい。この状況でも先が楽しみって思える自分がいます。BEGINの比嘉栄昇さんから、「人を祝う気持ちが戻ってきた時、人は復興に向かうことができる」と聞きました。来年、俺たちの15周年を祝えたら、それはあなたが復興に向かっているということ。ライブで一緒にハッピーに過ごせたら嬉しいです。

【かりゆし58 PROFILE】
2005年4月沖縄で結成の4人組バンド。沖縄音階にロック、レゲエをチャンプルーしたサウンドと、かざらない言葉でメッセージを発信し、世代を超え支持を得ています。2006年7月にリリースの母への感謝の気持ちをストレートに唄った「アンマー」が多くの共感を呼び、日本有線大賞新人賞を受賞。2016年2月22日にデビュー10周年を迎え、10 周年記念ベストアルバム『とぅしびぃ、かりゆし』をリリース。沖縄で生まれ育った彼らならではの『島唄』を全国に向け唄い続けている。最新音源は今年の2月にリリースしたアルバム『バンドワゴン』。
詳細:かりゆし58 Website


▶︎サポーターカンパニー:オリオンビールWEB SITE

【かりゆし58/バンドワゴン】
ARTIST:かりゆし58
CD TITLE:『バンドワゴン』
RELEASE:2020年2月22日
PRICE:3,200円(without tax)
CODE:LDCD-50139
詳細:かりゆし58 Website

かりゆし58『バンドワゴン』収録曲
M.01 声のジェット機:宇徳敬子 M.02 千惚り万惚り M.03 GO!MangoMan
M.04 太陽のひと:あびこめぐみ M.05 カケラ M.06 ミックスナッツとロックグラス
M.07 バンドワゴン-5seats- M.08 Endroll M.09 REALITY M.10 桜花謳歌 M.11 ノック 
M.12 赤夢波-KAMUNAMI- M.13 True M.14 シャララ ティアラ M.15 Unity-結仁庭-

【重要なお知らせ】かりゆし58アルバムリリースツアー 「ハイサイロード2020-バンドワゴン-」について
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、公演の開催について慎重に検討を重ねてまいりましたが、ご来場のお客様ならびにアーティスト、関連する全ての関係者の安全を最優先に考え、日程を変更せざるをえないと判断しました。日程は現在調整しており、後日改めてオフィシャルHP、SNSでお知らせさせていただきますので、恐れ入りますが今しばらくお待ちください。
詳細:かりゆし58 Website

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