Photo_小沢芳彦

波照間島で収録したアルバム『Sugar Land』、14年の時を経て再リリース!!
2005年に、八重山諸島波照間島で現地録音したアルバム『Sugar Land』を、14年の時を経て再リリースしたおおたか静流。オリジナルの歌詞で歌う「てぃんさぐぬ花」、島の子どもたちや虫や鳥たちとアカペラで奏でる「えんどうの花」、雨と共に亜熱帯の島を浄化するような荘厳なオリジナル曲の「Mother Nature」など11曲を収録。波照間島に存在するいろんな声がおおたか静流の歌と共存する『Sugar Land』スペシャル・インタビューです。ぜひご覧ください。
Interview & Text：幸田悟

ーー2006年8月にオリジナル版の『Sugar Land』リリース。沖縄「波照間島」に特化したアルバムを制作したキッカケ、理由を教えてください
おおたか静流 2005年の4月に初めて波照間島に行って、万物と共存しているということを学びました。それは、東京でも沖縄本島でも感じたことのない感覚で、すっかり波照間島の虜になってしまったんです。この島でレコーディングしたいと音楽食堂「パナヌファ」を録音の場所に選び機材を持ち込んで収録しました。 防音設備も無い場所なので、沢山の島の音が入っています。 雨、風、周囲をとりまいている空気、犬や鳥や虫……。このアルバムを通して様々な存在を感じていただけると思います。 『Sugar Land』というタイトルにしたのは、基幹産業が製糖業であることと、「とてもスイートな思い出深き島」という想いを込めて名づけました。

ーー『Sugar Land』の収録曲について伺います
M.01「てぃんさぐぬ花」Flowers in Heaven
ーー歌詞は、おおたかさんの作詞。時空を遡りオリジナルの「てぃんさぐぬ花」に歌われている「親」の気持ちとおおたかさんの気持ちとがクロスオーバーしたかのような歌詞に感じました
おおたか静流 自分の立ち位置に置き換えて歌いたいと思いました。てぃんさぐぬ花は、「天に咲く花」なので宇宙の生命の循環、輪廻をイメージしました。だから英語のタイトルは「Flowers in Heaven 」にしました。

M.02「月ぬ美しゃ」Moon
ーー沖縄民謡は通常ユニゾンで歌われますが、原曲の「月ぬ美しゃ」に奥行きを感じるコーラスのラインがとても美しくしいテイクです
おおたか静流 普段のスタジオワークでは、ハーモニーはかなり繊細にやるんですが、このアルバムに関しては、ゆる〜い感じのコーラスで。思いつくまま気の向くままに制作してます。

M.03「パティロマ」PATIROMA
ーー果てのウルマ、果てのサンゴ礁の島「波照間島」への愛が詰まったオリジナルソングですね
おおたか静流 波照間島で作った歌。まさに波照間へのラブソングです。

M.04「えんどうの花」Children
ーー子どもたちの笑い声、アカペラでの合唱。万人が共有している郷愁を感じます。英字タイトルにも納得!!
おおたか静流 波照間の子どもに歌ってもらいました。子どもたちの歌声はいいですね、全てを持っていかれます。ほんとに素晴らしい。

M.05「島々清しゃ」Beautiful Islands
ーー作詞：久米仁、作曲：普久原恒勇の名曲「島々清しゃ」。5番は後付けの歌詞ですね
おおたか静流 波照間の人が5番の歌詞をつけました。まさに「波照間清しゃ」ですね。

M.06「Mother Nature」
ーー雷鳴、雨音……。雨と共に亜熱帯の島を浄化するようなカノン。母なる大地が包み込む荘厳な曲です
おおたか静流 NHKでリリースしたアルバム『大英博物館Vol.1』に挿入した曲のセルフカバー。「私たちは自然の子供。何故私はここにいるのかその理由はわかっている」という内容の歌詞。波照間の大いなる自然との対話です。

M.07「あらし」Storm
ーーイントロで使われている弦楽器が実にヒューマンな感じで郷愁を誘います
おおたか静流 ブラジルの楽器ビリンバウという楽器と三線のアンサンブルもゆるくていいですね。
この曲は、波照間で制作した曲。まさに雨の日に生まれました。嵐は、私を試しているように感じて。「嵐が来るんだったら来てね、でも私の想いは変わらないよ」って歌ってます。

M.08「安里屋ゆんた」YUNTA
ーー沖縄民謡のコールアンドレスポンスの決定版「安里屋ゆんた」。さとうきび畑で畑仕事をしている風景が見えてくるテイク
おおたか静流 この歌はとても好きな民謡。なので島の人たちと一緒に楽しく歌いました。

M.09「デギヤッチョン」De-Gee-Ya-Chong
ーーとても不思議な感じの曲、おおたか静流ワールド炸裂です（笑）
おおたか静流 久高島に行った時のこと、ある夜たくさん歌が降りてきたんです。その中の一曲。久高島の方に楽譜をお見せすると、「これは神様が遊んでる時の歌かもしれないなぁ……」ってつぶやいていました。自分自身でもとても不思議な曲です。

M.10「イチビチ」Iｔi-Biｔi
ーーこの歌も不思議な余韻に浸れる曲。SE効果で時が過去へと戻っていくかのように感じます
おおたか静流 この歌も久高島で降りてきた曲。波照間から石垣島に向かう船がひどく揺れて、乗客がみんな船酔いしてるんです。自分もひどい船酔いで何故かこの「イチビチ」を歌ってたんです。この歌は苦しい時に歌う、救いの歌なのかもしれません。自分でもいまだになんの歌かわかってないんです。そういえば、周りを見渡すとみんなそれぞれに歌ってました。きっと歌って自分のために歌うものなんですね。

M.11「ソラ フカ ク」I Pray for you
ーー沖縄で「魂はニライカナイ」へ帰るとされるが、その理想郷「ニライカナイ」へとつながる祈りの歌
おおたか静流 この歌は鎮魂の歌です。「命が形から解放されて、魂になって解放され、共存のために空に上る」という祈りを込めました。

ーー令和の時代に『Sugar Land』「波照間島」へのうたたびを再び。その理由を教えてください
おおたか静流 このアルバムは、絶版になってしまったのですが欲しいと言う方々もいるので、アート・ワークをリニューアルして再発することにしました。私自身も思い入れの深いアルバムなので再発できて良かったです。東京で音楽の仕事をしているとみんなプロフェッショナルでカッチリと作り上げるんですね。だからこそ、個人のレーベルで制作するときは、極力アナログな感じで自由にゆる〜く、手作りで作りたいという気持ちが作用するのだと思います。基本スタジオ・ワーカーだからこその対極にあるアルバム。デジタル全盛な時代だからこそ面白い作品だと思います。

ーーリリース時に発表したテキストで「共存という言霊は、森羅万象を包む、ガイアの調べも、 私みたいなよそ者の吹けば飛ぶような魂も、 きっとどこかで繋がっているよ……。と囁きかけてくれそうです」と表現されてました。14年経過した今、どのように感じますか
おおたか静流 突き詰めていくと、人は誰しも「よそ者」、「借り者」だと思うんです。だから旅をする。どこに行ってもその感覚はとても大切。私自身このアルバムで「うたたび」を楽むことができました。

ーー『おおたか静流 Sugar Land Tour 2019』が開催されます。どのようなライブになりますか？
おおたか静流 アルバムに参加してくれた翁長巳酉と沖縄は初めてだというピアニストの黒田京子とともに、音の祝杯をあげたいと思います。その土地の人の汗と涙が感じることができるようなそんなツアーにします。

ーー読者にメッセージを
おおたか静流 私のマブイ（魂）は、沖縄にあります。私たちと一緒に「うたたび」を楽しみましょう。

おおたか静流『Sugar Land』
ARTIST：おおたか静流
CD TITLE：『Sugar Land』
RELEASE：2019年2月24日
PRICE：2,000円（without tax）
CODE：BUKIMI-4146

『Sugar Land』【収録曲】
1. てぃんさぐぬ花　Flowers in Heaven
2. 月ぬ美しゃ　Moon
3. パティロマ　 PATIROMA
4. えんどうの花　 Children
5. 島々清しゃ　Beautiful Islands
6. Mother Nature
7. あらし　Storm
8. 安里屋ゆんた　YUNTA
9. デギヤッチョン　De-Gee-Ya-Chong
10. イチビチ　Iｔi-Biｔi
11. ソラ フカ ク　I Pray for you

おおたか静流 Sugar Land Tour 2019

那覇市国際通り ｜SOUND M’S
日程：2019年8月17日（土）
会場：那覇市国際通り ｜SOUND M’S
出演：おおたか静流（Vo）、黒田京子（P）、翁長巳酉（Par）＋Sebastiaan Kaptein（Dr）
昼の部：キッズフレンドリーなライブ
時間：開場15:30　開演16:00
料金：一般前売・当日共2,000円（全席自由）※入場時別途1ドリンクオーダーが必要。
　　　＊１時間程度のライブになります。
　　　＊お子様の入場も可能。中学生以下無料（ドリンク注文はお願いします）。
夜の部：通常公演です
時間：開場19:00　開演19:30
料金：一般前売2,500円　当日3,000円（全席自由）高校生以下当日のみ1,500円
　　　※入場時別途1ドリンクオーダーが必要
　　　※未就学児膝上無料
詳細：Harvestfarm/ハーベストファーム facebook page

宜野座村文化センターがらまんホール
日程：2019年8月18日（日）
会場：宜野座村文化センターがらまんホール
出演：おおたか静流（Vo）、黒田京子（P）、翁長巳酉（Par）＋Sebastiaan Kaptein（Dr）
時間：開場14:30　開演15:00
料金：前売1,500円　当日2,000円
詳細：宜野座村文化センターがらまんホール WEBSITE

宮古島｜Pisara
日程：2019年8月20日（火）
会場：宮古島｜Pisara
出演：おおたか静流（Vo）、黒田京子（P）、翁長巳酉（Par）
　　　＋久貝巧（Vo&G）、ゲスト：與那城美和（Vo）
時間：開場19:30　開演20:00
料金：前売2,000円　当日2,500円
詳細：Pisara WEBSITE

石垣島｜すけあくろ
日程：2019年8月21日（水）
会場：石垣島｜すけあくろ
出演：おおたか静流（Vo）、黒田京子（P）、翁長巳酉（Par）
＋久貝巧（Vo&G）
時間：開場19:30　開演20:00
料金：前売2,500円　当日3,000円
詳細：すけあくろ WEBSITE

おおたか静流 PROFILE
東京都出身。7歳よりクラシックの声楽家に師事。その後、Jazz、民族音楽の洗礼を受け現在のノンジャンルに至る。これまでにオリジナルアルバムを21枚リリース、映像、絵画、朗読、ダンスとのコラボレーション等、ジャンルや国境を越えた音楽活動を展開している。即興のワークショップ「声のお絵描き」を主宰。NHK Eテレのテレビ番組「にほんごであそぼ」にレギュラー出演中。
詳細：おおたか静流 WEBSITE

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