タイトル：国立劇場おきなわ10周年!

組踊の魅力 10
文｜新垣俊道（伝統組踊子の会）

開館して10年目を迎えた国立劇場おきなわでは、年間を通して様々な記念公演が開催されている。
去る2月には上演時間が二時間半を超える組踊「大川敵討」を中堅・若手中心で上演し、さらに4月にはほぼ同じ配役で東京国立劇場でも上演した。筆者も含め、子の会会員も数多く抜擢され、一定の評価を得たことと思う。
この作品は上演時間の長さや登場人物の多さもあり、沖縄でも全編上演は珍しい。記念公演などに上演されることが多く、県外での全編上演は今回が初めてである。
仇討物で構成や展開の面白さ、登場人物の多彩さ、14曲もの音楽が使用され、人気のある作品である。
劇中で「いきやへは兄弟　何うち隔てのあが（行き会えば兄弟、何の隔てがあろうか）」という台詞がある。聞き覚えのある言葉では？
そう、「イチャリバ チョーデー」そのものである。
前川朝昭作「兄弟小節」の「行逢りば兄弟　ぬう隔てぬあが　語れ遊ば」の歌詞にも、この台詞がそのまま使用されている。
組踊「大川敵討」が上演された最も古い記録は1800年と言う。
今から214年前の台詞が現在でも使用されていることに驚きと感動すら覚えた。
東京公演で県外の方々と行き会った琉球芸能と出演者。真の兄弟のように愛（かな）さしていただける芸能を目指したいものだ。

重要無形文化財保持者公演　
琉球舞踊特選会
日程：9月20日（土）　
時間：14時開演　
場所：国立劇場おきなわ大劇場
料金：3,600円

新垣俊道 PROFILE
国立劇場企画公演や県内外の公演に多数出演。
08年国立劇場おきなわ組踊研修を修了し、
伝統組踊「子の会（しーのかい）」結成。
同年発売されたCD琉球舞踊曲集・野村流に歌三線として
収録に参加。

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